証拠をつかんでも、3年以内に離婚する人は2割

―― 最近、昔と違ってやりにくくなってきたことや、逆に証拠をつかみやすくなってきたこととか、今の時代だからこその特徴はありますか。

 LINEやメールのおかげで、ピンポイントで証拠を押さえられる確率が増えてきているのは確かです。男性と女性との会話の履歴を持ってくる方も昔と比べてだいぶ増えました。昔は電話の履歴くらいしかなかったんですが、今はクレジットカードの明細や、LINEの履歴、メールなど多岐にわたりますね。GPSでスマホを探す機能などを使えば、どこにいるかも分かってしまうこともありますし。指紋認証は寝ている間に解除する人もいますし、パスワードは指の動きで実は解読できている、ということもよくあります。

 ただ、LINEやメールだと『言葉遊び』という言い逃れの可能性がなくはないんですね。行為について書かれていたとしても『これはただの願望、妄想』と言われてしまうかもしれない。離婚の場合は金銭的な損害が発生するので、相手も言い逃れに必死になります。最悪、ラブホテルに入っても“行為はしていない”って言い張る人もいるくらいですから。

 ただ、LINEで『愛してるよ』というようなことを書いていても、それだけでは証拠になりませんが、浮気相手と付き合っていた期間などを証明することはできます。例えばホテルに入る証拠が押さえられていたのは一度だけだったとしても、5年間『愛している』というやり取りが続いていたら5年前後付き合っていたものとして請求額などを考えることができます。

―― ちなみに、例えば夫の携帯を勝手に見ることは、逆に不利になったりするんでしょうか。

 インターネットに接続してIDやパスワードを解読したりして、不正にアクセスする行為は不法です。ただスマホを開いたり、その中に残っているメールを見たりすることは問題にならないことが多いです。ただ、証拠を自分で押さえるということは、探偵事務所に依頼をかけるのであれば極力やらないでほしいです。もしその行動が対象者に分かってしまった場合は警戒心を与えてしまいますし、証拠が取れなくなる恐れが出てきてしまいます。

タント相談員 ロックのかかっているスマホを無理やり解除して、過度に詮索をし、プライバシーを侵害し続けた場合には、その行為自体を有責として離婚の申し立てをされる可能性もあります。

―― 依頼前にやっておくべきことは、とくにはないということでしょうか。

 やっておくことは、日記を書くことですね。日記には日付、曜日、相手の出勤時間や帰宅時間、飲み会の曜日、帰ってきた時間、暴言や会話の内容などを記載しておくと、調停のときに記憶だけで話すより有利になりますし、信ぴょう性も高くなります。調停の場に関して言えば、日記はかなり重要です。言った言わないの話になってしまうことが多いからです。離婚理由というのは、不貞行為だけが原因ではなく、暴言やモラハラ、性格の不一致など、色々なことが不貞行為につながっていく可能性が高いので、日記はとても重要視しています。手書きじゃなくても、携帯のアプリなどでも大丈夫です。毎日記録することが重要なんですね。逆にもし嘘を書いても、つじつまが合わなくなってくるのでバレます。

―― 調査後、やはり離婚する人が多いのでしょうか。

 3年以内に離婚する人は2割に満たないですね。不貞行為が認められたら、相手側からは離婚は3年間はできなくなります。ですので、その3年間に考えたり、仕事を始めてお金をためたり、という準備ができます。一方で金銭的な理由や、子どもや親に対する配慮から、あえて離婚をしない決定をする人もいます。証拠をつかんで相手と会話することで、相手に浮気をやめてもらったり、行動を正してもらう材料にするようです。

タント相談員 すぐに離婚する人は、「タントくん」に相談した人でも全体の3~4割です。残り6~7割は様々です。まずは証拠を取って、調査については打ち明けずに配偶者の様子を見る人、浮気相手との関係を絶たせて、婚姻関係を続ける人、子どもや親の事情からすぐには離婚せず数年経ってから離婚する人、などです。多種多様な選択をする人が増えています。以前は浮気調査=離婚というイメージが強かったのですが、今は証拠を取っておいて一度は許して、様子を見る…という賢い(?)選択をする人も少なくありません。

<関連サイト>
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