基本、息子を子ども扱いはしない

―― 佐藤さんが洋画実写の吹き替えに初挑戦した『ルイスと不思議の時計』の主人公ルイスは、魔法使いの伯父のジョナサンから魔法を習うなど、影響を受けますが、佐藤さんが子どものころ、影響を受けたのは?

佐藤 父親だと思います。松田優作さんや武田鉄矢さんなど、演技を見て影響を受けた人はいますが、身の回りだったら父親ですね。普段はそんなに面白おかしい人じゃないのに、親戚が集まると、うちの父親が一番面白いことを言っていて、そんなところに影響を受けたかもしれないです

 子どものころ、父親とはキャッチボールをやったり、野球盤で遊んだりしました。今、息子と同じように遊んでいます。最近、嫁が息子にすごろくを作ってみるように勧めたんですね。平仮名を書けるようになって、数字の概念も分かるようになったので。息子は嫁に手伝ってもらいながら作って、3人で遊びました。普通に2コマ進むとか、3コマ戻るとか書いてあるんですが、中には「モノマネをする」とか「ジャンケンをする」なんていうのもあってね。3人でジャンケンをして、勝った人は1コマ進んで、負けた人は1コマ戻るという感じです。

 ただ、息子は負けると泣き叫ぶんですよ(笑)。それでも、わざと勝たせるなんてことはしません。挟み将棋でもオセロでもガチでやります。オセロなんて、僕が12連勝くらいしてる。問答無用です。嫁はわざと負けているのか分からないですけど、割と負けます。そこで、なんとか息子のプライドが保たれていますね。

 僕が、なんでわざと負けてあげないかというと、自分が子どもの頃、ませた子どもだったからだと思うんですが、大人の人が目線を同じにして「ボク、どうしたの?」なんて言ってくることに、すごく違和感があったんですよ。佐藤二朗という名前なのに、なんで「ボク」なんて呼ぶんだろうって。わざわざ何で腰を下ろすんだろうって。だから、息子に対しても、自分が違和感を持ったことはしたくないんです。

―― 子ども扱いしないんですね。

佐藤 とは言え、子どもなので、抱っこもハグもチューも毎日します。でも、だんだんチューを嫌がってきましたねぇ。チューをしてくれるんですけど、お返しをすると拭くんですよ。「なんで拭くんだよ~」って傷つきますね(笑)。

自分に似ている息子 もし役者になりたいと言い出したら……

―― 息子さんは佐藤さんに似ていますか?

佐藤 全く落ち着きがないところがそっくりです。動物園のサルの映像がテレビで流れて、サルが何匹もワーッといる映像だったんですが、それを見ても「ああ、サルのほうがうちの息子よりは落ち着きがあるなぁ」と思いました(笑)。息子は常に動いて、常に喋っていますからね。僕は、自分がそんなだったか記憶はないんですが、小学校の通信簿の備考欄に6年間、落ち着きがないと書かれ続けましたから、そっくりだと思います。

 でも、息子と会話をしていて、「そんな言葉を覚えたのか!」と思うような難しい言葉を言い出すときは、成長しているんだと感じます。あと、抱っこを嫌がるときなんかもね。ちょっとさみしいですけど、成長の証なんでしょうね。