活動のヒントは「幸せの4つの因子」

 メンバーは上の学年の保護者たちで、決してやる気のある人たちばかりではありません。予算も少なく、プロジェクトマネジメントの経験はなく、広報誌もまだ2回しか目を通したことがない。「どうしたらいいの?!」と不安いっぱいだったという前野さん。

 しかしこのとき、夫から1枚のメモを見せられました。その頃、夫が研究を進め、おぼろげながら見えてきていた「幸せの4つの因子」の原型でした。

・「やってみよう!(自己実現と成長)」
・「ありがとう!(つながりと感謝)」
・「なんとかなる!(前向きと楽観)」
・「ありのままに!(独立と自分らしさ)」

 幸せに影響する心的特性とされるこれら4つのキーワードを、前野さんは手帳に書き込んで、何度も見返し、活動のヒントにしていったといいます。

 PTA活動は、「前任者がやった通りに仕事を引き継ぐもの」として綿々と同じやり方が繰り返されていることが多いもの。前野さんの学校は児童数1200人を超えるマンモス校で、ことさら「新しいことを始めると大ごとになる(だから、やらないでおこう)」という雰囲気があったそうです。しかし、前野さんはあえて“クリエーティブな挑戦”へと踏み出していったのです。

 後編に続きます。

取材・文/宮本恵理子

■文中の表現を一部、修正いたしました。(2019年10月17日)



前野マドカ
EVOL代表取締役CEO
前野マドカ 慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科付属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。IPPA(国際ポジティブ心理学協会)会員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。二児の母。