たまたま引き受けた広報委員長が転機になった

 「PTA活動は、まさにチームビルディング。『子どもたちによりよい環境をつくる』というゴールに向かって、保護者、学校、地域の皆さんを巻き込んで、たくさんの人を動かしていくのです。ハードルもたくさんありましたが、とてもやりがいのあるプロジェクトでした

 前野さんが初めてPTA活動に参加したのは、長男が小学校に入学した年でした。

 「学校のことをよく知ることができるかも」という気軽な動機で学年学級委員に立候補。月1回程度のミーティングに参加し、授業補助のまとめ役などに定期的に参加。当時は「ママ友ができるし、子どもも喜ぶから楽しいかも」という程度の気持ちで、それほど積極的に参加する意志はなかったといいます。

 転機となったのは翌年。新学年が始まってすぐの保護者会でPTAの委員選出があり、乳児を抱えたお母さんが広報委員のくじを引いてしまいました。「どなたか代わってもらえませんか」と困り顔を向けるお母さんに、誰も手を挙げようとしません。年2回発行の学校広報誌を製作する広報委員は、「できればやりたくない大変な仕事」と皆が思っていたのです。シーンと静まる教室。司会を務める担任の先生もオロオロ……。

 1年次で委員を経験していた前野さんは、本来は「パスOK」の権利を持っていましたが、たまらず「私、やってもいいです」と引き受けました。さらに、全学年の広報委員約50人をまとめる広報委員長もなかなか決まらず、引き受けることになってしまいました。