仕事と子育てで忙しい毎日を送っていると、自分の健康のことはつい後回しになりがちという人も多いのではないでしょうか。女性にとって40歳前後は、様々な体の変化と向き合うことになる時期。前向きに過ごすエネルギーを維持するためにも、できることから体のメンテナンスを始めてみませんか。

 ジムに行ったり、ウオーキングをしたりという時間はなかなか取れなくても、毎日の隙間時間で気軽にできるのがストレッチです。日本ストレッチング協会理事の池田つぐみさんに、DUAL世代におすすめのストレッチ法を聞きました。

何もしないと、筋肉の「貯金」は年齢とともに減る一方

 ちょっとした段差でつまずいた、ワンピースの背中のファスナーを上げるのに苦労した、片足で立った状態で靴下がうまくはけない…そんな経験に心当たりはありませんか? これは、体の柔軟性の不足や筋肉量の低下が原因で起こることだと池田さんは説明します。

 「筋肉は繊維の束なので、ちゃんとトレーニングしたり、使ったりしていると太くなるんですね。私はよく『筋肉の貯金』と言っているのですが、若いころは十分にあっても、年齢とともに量は減り、使わなくなれば繊維も細くなります。加齢とともに太りやすくなるというのは、筋肉が細くなって皮膚との間に隙間ができると、そこに脂肪が蓄積されやすくなるということなんです」

 筋肉の衰えを防ぐためには筋トレ、脂肪を燃焼させるためにはウオーキングなどの有酸素運動を行うわけですが、体が柔軟であれば、当然動作はしやすくなります。ダイエットや健康維持には筋トレと有酸素運動をバランスよく行うことが大切。そして運動のベースとなる体の柔軟性もまた、トレーニングの大事な要素になるのです。

体を柔軟に保つことが、動脈硬化の予防にも

日本ストレッチング協会の池田つぐみさん
日本ストレッチング協会の池田つぐみさん

 体が硬いことで起こる弊害の一つとして、池田さんは動脈硬化を挙げます。「血管が硬くなる人を調べると、皆さん体が硬いことが分かっています。女性は女性ホルモンに守られているので、若いうちは血管系の病気になることは、男性に比べると少ないんですね。でも、年齢とともに女性ホルモンは少なくなるので、リスクは高まる。そこで体を柔らかくしておけば、動脈硬化は防げるのではないかといわれています」

 ストレッチをすることで血流が良くなり、体の様々な滞りを解消することにもつながるので、女性に多い肩こりや腰痛、足のむくみ、冷え性なども、改善が期待できるそうです。

 また、DUAL読者の年代には特に「内もものストレッチ」がおすすめとのこと。40歳を過ぎたあたりから経験する女性が増えてくるのが尿失禁。妊娠・出産を機にもっと早くから起こることもあります。「性器に近い筋肉は自分で動かすことができないものが多いので、その周りにある内ももの筋肉を柔らかくして鍛えておいたほうが、尿漏れはしにくくなります」