「毎日やらなきゃ」はストレスに。思いついたときに1回15秒でOK

 実際にストレッチを行うときは、どんな点に注意すればいいのでしょうか。池田さんに教えてもらいました。

隙間時間を利用して、1回15~30秒が効果的

 「ストレッチによって柔軟性を高めたり、関節可動域を広げたりするのに効果が表れやすいのは、15~30秒といわれています。筋肉や腱が温まっているお風呂上がりが一番いいですが、必ず決まった時間にやらなきゃ、と思うとそれだけでストレスになるので、必ずしもそうする必要はありません。テレビを見ていてCMに入ったとき、ちょっと空き時間ができたときなど、思いついたときにやってみてください」

気持ちいいところで止める。刺激はNG

 「ストレッチで無理は絶対に禁物です。ゆっくりと伸ばして気持ちいいな、というところに来たら、そこから15秒キープしてください。筋肉には防衛反応があって、痛いと思った瞬間、脳に指令を出してきゅっと硬くなります。『いた気持ちいい』はやり過ぎ。気持ちいいポジションで止めておけば、徐々に柔軟性はアップしていきます」

息を吐き、伸びている筋肉を意識する

 「息を吐きながらストレッチをすると、筋肉が緩められます。ふーっと細く長く吐いて、『ああ、今内ももが気持ちよく伸びているなあ』などと考えながらやってください。苦しくなったら途中で息継ぎをしてもOKです」

飲酒の前後は避ける

「お酒を飲むと血流が良くなっているので、普段より無理をしてしまう可能性があります。また、ストレッチをすることで血流が良くなり、酔いが回りやすくなるので、飲酒の前も避けたほうがいいですね」

 それではここから具体的なストレッチ法を紹介します。上半身のトレーニングは、オフィスで仕事の合間の息抜きにやるのもおすすめ。自宅では、フローリングに敷いたラグマットの上や、畳にバスタオルを敷いたところなど、安定した場所で行ってください。

①胸と肩回りのストレッチ

 壁との間に少し隙間を空けて横向きに立ち、左腕の肘を90度曲げて壁に着ける。右足を前に出した状態で、体を外側にゆっくりひねる。壁に着ける腕の位置を上下にずらすと、伸びる筋肉の位置が変わる。反対側も同様に。※このストレッチは、肩を脱臼したことがある人はやらないこと。

②肩から肩甲骨回りにかけてのストレッチ

 右手で左の側頭部を押さえ、左手の甲を腰に当てる。この姿勢のまま、頭を右にゆっくり倒し、気持ちいいところまで伸ばす。このとき、左肩を下げるよう意識すると、さらに首筋が伸びる。反対側も同様に。

③胸鎖乳突筋(首の外側)のストレッチ

 両手をクロスして鎖骨の上にのせて押さえ、そのまま斜め右を見上げる。反対向きも同様に。胸鎖乳突筋はバストを支えている筋肉の一種で、ここを伸ばすと肩こりの改善も期待できる。

④広背筋(背中)のストレッチ

 右腕を、手のひらを自分に向けて左斜め上に上げる。左手で右手首を内側からつかみ、上に引っ張る。反対の腕も同様に。