ユニセフ(国連児童基金)は9月3日、先進国などの「子どもの幸福度」を調査した報告書を発表した。日本は子どもの幸福度の総合順位が調査対象の38カ国中、20位だった。

 幸福度ランキングは以下の3つの分野を指標化している。

(1)肥満の割合と死亡率に基づく「体の健康」
(2)生活の満足度が高いと答えた子どもの割合と自殺率に基づく「精神的な幸福度」
(3)学力や社交性に基づく「スキル」

 子どもの幸福度の総合ランキングの1位はオランダ、2位はデンマーク、3位はノルウェーと欧州の国が上位を占めた。調査は経済協力開発機構(OECD)と欧州連合(EU)の加盟国が対象。

 分野別で日本は「体の健康」が1位だった一方、「精神的な幸福度」は37位と下から2番目。「スキル」は27位だった。

 「精神的な幸福度」の指標の一つ、子どもの生活への満足度に関する調査で、15歳の子どもに、生活に関する満足度を0(最低)から10までで表してもらったところ、日本は6以上の評価をした子どもが62%。1位はオランダで90%、2位のメキシコは86%だった。

 日本ユニセフ協会の広報担当者は「新型コロナの影響で、足元では世界の子どもの生活に対する満足度は悪化しているはず。日本の子どもの満足度のさらなる低下を危惧している」と話す。

 「スキル」については、日本の子どもは基礎的学力の項目が高い一方で、「すぐに友達ができる」という社交性の分野が低い水準となった。「高い学力を持ちながらも、社会的スキルに自信がないという、日本の子どものスキルの偏りが浮き彫りになっている」(同協会)

子どもの幸福度 総合順位

1位 オランダ
2位 デンマーク
3位 ノルウェー
4位 スイス
5位 フィンランド
6位 スペイン
7位 フランス
8位 ベルギー
9位 スロベニア
10位 スウェーデン
11位 クロアチア
12位 アイルランド
13位 ルクセンブルク
14位 ドイツ
15位 ハンガリー
16位 オーストリア
17位 ポルトガル
18位 キプロス
19位 イタリア
20位 日本
21位 韓国
22位 チェコ
23位 エストニア
24位 アイスランド
25位 ルーマニア
26位 スロバキア
27位 イギリス
28位 ラトビア
29位 ギリシャ
30位 カナダ
31位 ポーランド
32位 オーストラリア
33位 リトアニア
34位 マルタ
35位 ニュージーランド
36位 アメリカ
37位 ブルガリア
38位 チリ

  31カ国を対象とした2013年の前回調査は、今回と異なる指標などで行われ、日本は全体で6位だった。

 今回の調査結果を踏まえ、日経DUALでは日本の子どもの幸福度が低下している理由を探りつつ、その改善策などについて、専門家の見方を連載していく。

コロナが子どもの幸福度に与える影響が懸念されている。写真はイメージ
コロナが子どもの幸福度に与える影響が懸念されている。写真はイメージ

取材・文/飯島圭太郎 イメージ写真/PIXTA