元お笑い芸人で、プロの紙芝居師として活動する山田一成さんは、東京2020オリンピック・パラリンピックの広報活動の一環で、紙芝居を通じてパラスポーツの魅力を伝える仕事などをしています。「男性不妊と告げられ驚く 4年後父になった紙芝居師」に引き続き、先天性股関節亜脱臼の持病を持って生まれた娘が5歳で手術を受けた際、父親として実践した「笑顔を届ける」サポートについて聞きました。

娘が生まれてから数カ月後、股関節の異常に気づいた

 娘には、先天性股関節亜脱臼という持病があります。足の付け根の関節が生まれつきはずれ掛けている病気で、娘の場合、完全に外れているわけではありませんでした。

 病気に気づいたのは、娘が生後数カ月のときです。僕のひざの上に乗っていると、コキコキと小さな音が聞こえました。音はするときもあれば、しないときもありました。それでもすぐに病院を受診し、早期発見ができたのは、弟子に、かみはるという先天性股関節脱臼の紙芝居師がいたためです。

 かみはるは現在でも、つえをついて紙芝居口演を行っています。小3で症状に気づいて手術をし、完治したと思っていたら、20歳で先天性股関節脱臼が原因の変形性股関節症という別の進行性の病気を発症しました。それだけに、「この病気はいつ、どうなるのか分からない」と言っていましたね。

両足の完治には、1年以上かかる

 娘は、先天性股関節亜脱臼の診断を受けたあと、股関節をギプスのようなもので固定する治療を受けることになりました。とはいえ、まだ0歳です。それで完治したわけではなく、「5歳になって、臼蓋(きゅうがい)という大腿骨の上部にある丸い骨が成長していなければ、手術が必要でしょう」と、医師から言われました。

先天性股関節亜脱臼について説明する山田さん
先天性股関節亜脱臼について説明する山田さん