自分力を身に付けるカリキュラム

 KDIでは、自分自身で生き抜く自分力を育むために、「運動指導」「知能教育」「職業体験プログラム」も提供しています。

 「知能教育」では、豊かな想像力や柔軟な思考を育てるもので、楽しみながら「学びのプロセス」を体験。例えば、図形や記号、概念の遊びをするうちに「知的な大好き」が芽生え、算数の基礎の基礎を身に付けます。幼児期にこうした環境を与えることで脳の器を拡げ、多くの能力を吸収・学習できる力を育み、卒園児までに小学校3年生までの算数力や国語力をつけることを目標としています。

 「運動指導」は、東京大学大学院・深代千之教授の監修のもとで開発したバイオメカニクスに基づいた独自のもの。神経系が著しく発達する幼児期に必要な運動を科学的に分析したプログラムで、忍者の修行にみたてた遊びを交えたもの。体力・筋力を鍛える体育ではなく、子どもたち一人ひとりの体を動かす能力を最大限に引き出し、楽しみながらスポーツに必要な体の使い方を習得します。さらに年齢の違う多学年のグループで取り組むプログラムもあり、リーダーシップや年下の子を思いやる力、チームで考える力を育み、何事にもチャレンジできるたくましさを身に付ける内容になっています。

 中室さんも、運動は非常に重要と指摘します。「運動系の課外活動に従事していた子どもはそうでない子どもに比べて、学校を卒業した後10年後の賃金が4.2~14.8%も高いことを示した研究があります。別の研究では、スポーツをすることは、協調性やリーダーシップなどの非認知能力の獲得につながり、それが将来の経済的な状況をよくしたのではないかと分析されています」(中室さん)

 また、「職業体験プログラム」では、将来の職業へとつながる経験を通じ、興味が持てるものや隠れた才能を見つけ育てていきます。疑似体験によって組織の中での役割や職業観を楽しみながら学ぶことが目的ですが、中室さんも職業体験は将来の幸せのためにも必要なことだと評価しています。

 「海外で行われた実験には、抽選で企業でのインターンシップに参加することになった大学生が、インターンシップをしなかった大学生よりも、卒業後の収入や雇用状況がよいことを示したものがあります。様々な職業について理解を深め、実際に体験することを通じて、自分にあった職業選択をすることができたのでしょう。教育のリターンについて情報提供を受けた子どもたちの学力が高くなることを示した実験もあります。学校で学んだことが、卒業した後どのように役立つのかを考える機会があることは、学校でしっかり勉強しようというモチベーションを上げることにつながるのではないでしょうか」(中室さん)

日本でも幼児教育の質を問われる時代に

 海外の場合では、幼児教育の「質」に焦点を当てた指標が公開され、それらをもとに保護者は保育所や幼稚園を選ぶといいます。

 「海外では、幼児教育の“質”に着目する研究が増えてきています。私が共同研究者と実施している研究では、複数の自治体の認可保育所で、2歳半~5歳までの保育の質を測るECERS(Early Childhood Environment Rating Scale)と、0歳~2歳半までの集団保育の質を測るITERS(Infant Toddler Environment Rating Scale)を用いて、幼児教育の“質”を計測しています。海外の研究では、この指標が高い幼稚園や保育所に通っていた子どもは、小学校に就学した後の問題行動が見られにくく、学力が高いことが示されています。このような幼児教育の質を測る客観的な指標が保護者に公開され、幼稚園や保育所を選ぶ時の参考にしている国もあります。もちろん日本でも、幼稚園や保育所は様々な情報を公開していますが、そのほとんどが保護者の満足度や、幼稚園や保育所の財務情報が中心で、肝心の子どもたちが受ける教育の質を評価したものではありません。親にとっての利便性や施設の経営状態よりも、子どもたちが受ける幼児教育の“中身”に目を向ける必要があるでしょう」と質の高い幼児教育の環境を重視する必要があることについて繰り返し述べました。

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