子どもにさせたい習い事として人気ナンバーワンのプログラミング。2020年の教育改革で必修化されることもあり、気になっている人が多いのではないでしょうか。そんな中、ソニーはワークショップイベント「Sony STEAM Studio 2018」を開催しました。イベントでは、プログラミング初心者の子どもたちが、ソニーのプログラミング教材「KOOV TM(クーブ)」と「MESH TM(メッシュ)」を体験。遊ぶように楽しく、学びました。

 イベントの様子とそれぞれの教材の開発者にお聞きした、ソニーが子どもたちに伝えたいことをリポートします。

「自分で考え、選び、試してみる」

 デュアル世代の親たちはソニーというとどんな印象を持っているでしょうか。

 スタイリッシュで世界をリードし、技術力も高いメーカーというイメージと共に、子どものころから親しんできた様々な音楽機器やゲーム機器、家電が思い浮かぶ人が多いのでは?

 実はソニーには別の側面もあります。それは、子どもたちの科学する心を育てたいという教育への思い。これは、ソニーの創業者の井深 大さんが、次代を生きる子どもたちが心豊かに育つことを願い、教育の重要性を伝えるためにさまざまな提案をしてきたことに発しています。

 アメリカや中国をはじめ世界中でSTEAM教育への関心が高まっている中、日本でもその関心が徐々に高まりつつあります。2020年にはプログラミング教育が必修化されることもあり、子どもたちに何を学ばせ、体験させたらよいのか?という教育に対する疑問や不安の声も聞かれます。そんな中、開催されたのが「Sony STEAM Studio 2018」というイベント。

 「Science(科学)、Technology(技術)、Engineering (工学)、Mathematics(数学)にArts(芸術)を加えたSTEAM教育を通じて、これからの時代を生きる子どもたちに必要な思考力、創造力を育んでほしい」、そして「未来を創る子どもたちには、ワクワクしながら学んでほしい」、「自分で考え、選び、試してみる子どもに育ってほしい」という思いが込められているといいます。そんなソニーの教育へのメッセージが感じられる「Sony STEAM Studio 2018」の様子をのぞいて見ました。

プログラミングを使ってオオカミから逃れよう!

 7月下旬、東京都港区のソニー本社ビルの大きな会議室に集まったのは小学3年生から6年生の児童たち。これから始まるのはソニーが開発したプログラミング教材のワークショップです。子どもたちは2~3人ずつ、10グループに分かれてテーブルに着きます。各グループには、ソニーグループ各社からのボランティア社員がリーダーとして配置されている。ワクワクしながらも緊張した面持ちの子どもたち。これからどんな体験をするのでしょうか。

「それでは、『Sony STEAM Studio 2018』の始まりです!」

 株式会社ソニー・グローバルエデュケーションの清水輝大さんの掛け声とともにワークショップが始まりました。清水さんはソニーが開催する様々なワークショップで子どもたちにプログラミングを学ぶ楽しさを教えているエデュケーション エヴェンジェリスト。今回も子どもたちをリードしていきます。

 清水さんはワークショップの冒頭で子どもたちには、あるミッションを伝えました。それは、子どもたちが童話「3匹のこぶた」にちょっと似たお話「3びきめのこぶた」の中のこぶたになって、プログラミング教材を使ってオオカミから食べられない方法を編み出すというものです。

 各グループはオオカミに食べられない対策として「にげる」「たたかう」「おどろかせる」「なかよくなる」「かくれる」の中から1つの作戦を選ばなければなりません。そして、その方針に合った具体策をプログラミング教材で形にしていくのです。

ソニー・グローバルエデュケーションの清水輝大さんのリードでワークショップは進行
ソニー・グローバルエデュケーションの清水輝大さんのリードでワークショップは進行

KOOVのプログラミングで家を作る

 プログラムの前半では、KOOVを使って、オオカミ対策の家を作ります。KOOVはブロックで自由な「かたち」を作り、プログラミングによって様々な「動き」を与えて遊ぶロボット・プログラミング学習キットです。

KOOVはブロックパーツと電子パーツを組み合わせてロボットを作り、専用のアプリケーションでプログラミングをする。ブロックパーツの種類が7種類と少ないため、組み立て方が複雑にならず、作り直しも簡単にできる。画像は子どもたちが作った作品
KOOVはブロックパーツと電子パーツを組み合わせてロボットを作り、専用のアプリケーションでプログラミングをする。ブロックパーツの種類が7種類と少ないため、組み立て方が複雑にならず、作り直しも簡単にできる。画像は子どもたちが作った作品

 子どもたちは「たたかう」「おどろかせる」など、先ほど選んだ方針に沿った家を作っていきます。ブロックでデザインを作り、電子パーツを組み込んだら、タブレットでプログラミング。これで三匹めのこぶたの家は完成……。のはずなのですが、試してみると、ライトが1つしかつかない、プロペラが回らないなど、想定外のことも。子どもたちは一瞬シーンとしますが、長くは落ち込んでいません。「設定の数字を変えてみよう」とタブレットを引き寄せる子や、電子パーツを差し替える子が出てきます。いろいろいじって、再びテストをしてみて、うまく行かないところを、相談しながら直していきます。

 「実はKOOVの教材の一番の特徴がこの点に現れている」。KOOVの開発者であり、株式会社ソニー・グローバルエデュケーションの社長を務める礒津政明さんはそう話します。

ロボット・プログラミング学習キットKOOV開発者でソニー・グローバルエデュケーション社長の礒津政明さん
ロボット・プログラミング学習キットKOOV開発者でソニー・グローバルエデュケーション社長の礒津政明さん

 礒津さんによると「子どものころにたくさん失敗をして、どうしたら課題を克服できるか、子ども自身が考え、工夫をすることで『上手に失敗する力』が身に付く」といいます。「この『上手に失敗する力』こそがこれからのグローバルな世界に生きる子どもには必要です」

 KOOVの特徴は、ブロックのパーツがシンプルで、組み立てやすいこと。プログラミングがうまくいかなくてもすぐに修正して、確認できることです。「トライアンドエラーが気軽にできるので、子どもたちは失敗を恐れずに、頭に浮かんだことを次々に形にしていきます。そんな体験を経て、子どもは、失敗を恐れずに、自分の個性を生かし、色々なことにチャレンジできるようになる。KOOVはプログラミングの教材ですが、この教材で学ぶことにより、子どもたちの自己肯定感を高めることにもつながっていくのです」

 確かに3匹めのこぶたの家づくりでも、子どもたちはそれぞれの個性を発揮して課題に取り組み、チームとしての考えを形にすることができました。作業時間の終了間際には、どのチームからも「できた」「やった」と達成感に満ちた声が挙がり、どの子も目がキラキラしていたのが印象的です。

ロボットが想定通り動くかチェックする
ロボットが想定通り動くかチェックする

作品が完成!
作品が完成!

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