早くから子どもにPCを使わせた方が、授業でもつまずかない
そのためには、早くから子どもにPCを利用、所有させておいた方が、有利といいます。
「短期的には、小学校でプログラミング教育を受けたときに、まったくPCにさわったことがないと、他の生徒よりも出遅れてしまう可能性があります。授業では、プログラミングだけでなく、その結果をまとめてスライドで発表をしたり、レポートをまとめたりすることもあるでしょう。その際に、文字変換などでつまずいていると出遅れてしまいます」
「さらには、その先にCBT方式での大学入試があるので、家庭でも早くはじめておいた方がいいのは間違いないです。その上で、職業選択を考えたときに、PCをはじめとするコンピューターを使うスキルがあった方がいいでしょう」
プログラミング教育に必須の「PC操作スキル」
では、子どもにPCでどんなことを学ばせるといいのでしょうか?
「いまの子どもはスマホやタブレットを先にさわることが多いので、ピンチ&ズームなどのタッチの動きは得意です。けれど、PCはキーボードやマウスの操作が基本。ユーザーインターフェースがスマホやタブレットとは違うため、基本的なPC操作のスキルが不足しています」
「実際に学校でテスト的にプログラミング授業を行った結果、プログラミングの前に基本的なPC操作ができないことがわかりました。PC操作で大事なのにもかかわらず、子どものスキルが不足していたのは、(1)キーボードでのローマ字入力、(2)ファイルのコピー・移動、(3)ファイルの保存、の3つでした。さらに、PC操作スキルが高い子どもたちの方が、授業の目標達成度が高い傾向となりました」
スマートフォンやタブレットではなくPCを利用することで、データを消費するだけでなく、データを処理し、生産する能力が身につくといいます。
「タブレットは、閲覧性に優れているデバイスなので、デジタル化された教科書を読むのには適していると思います。けれど、インターネット上にあるデータを調べ、比較しながらデータを整理し、表計算をして関連性を調べ、レポートにまとめる、といった場合はPCの方が適しています」
「OECDの学習到達度調査(PISA)によると、日本の子どもたちは複数の情報を分析して結論を導き出すのが諸外国に比べて弱いということがわかっています。スマートフォンやタブレットの場合、シングルウィンドウなので、複数のものを比べるというのはなかなかしにくいのです」
「長文入力をするという点でも、やはりパソコンの方が入力しやすい。Twitterなどで短文ばかり書いていると、400文字詰め原稿用紙に作文するといった長文を書く習慣がなかなか身につきません。さらに、学校でPCを使うシチュエーションを想定したときに、単体で使うケースもありますが、カメラや顕微鏡など外部接続機器を使う場合があります。タブレットは基本的に単体で成立するので、あまり拡張性がなく使い勝手がよくないという面もあります」