男女の違いは「体格」と「スピード」ぐらい

―― サッカー指導者から見た、男女の違いを教えてください。

高倉 体格とかスピードとかは違うと思いますが、他は変わらないと思います。日本人は男女ともに自己犠牲心があって、グループとして活動する力がありますよね。若手選手育成のトレーニングをやっていると、練習後に用具を片づけるといったことに関しては女の子のほうが早い、とよく聞きます(笑)。

―― 監督は何歳ごろからサッカーに本格的に取り組もうと?

高倉 私が子どものころはプロサッカーがなかったので、サッカーで生きていこうとは、選手時代も含めてこれっぽっちも思っていませんでした。たまたま友達が男の子ばかりで、小学4年生のときに、その友達が入ったサッカーチームに自分も入ったのが、サッカーを始めたきっかけ。当時は日本ではまだサッカーが盛んではありませんでしたし、サッカーをする女子は他におらず、それまで(私は)サッカーのサの字も知りませんでした。でも、スポーツは全般的にとても得意。サッカーもすぐ上達しました。

 大学2年生のときはまだ女子サッカーのリーグが日本にはなく、「ちゃんと就職しないといけないかな」「サッカーを辞めないといけないのかな」と悩みましたが、キャリアで悩んだのはその1回だけ。私が大学3年生のときに日本女子サッカーリーグができ、その後、アジア大会や世界大会も始まりました。

―― リーグ開始が間に合ってよかったですよね!

高倉 そうなんです。いつもそうやって何かに引っ張られて、いまや監督にまでなってしまいました(笑)。

―― 今サッカーをやっている子どもたちに一言。

高倉 「いっぱい練習しなさい」に尽きます。人より練習しないとうまくなりませんからね(笑)。

高倉麻子
サッカー日本女子代表監督
福島県生まれ。中学生の時、日本初の東京の女子サッカークラブ、FCジンナンに入団し、高校卒業までの6年間、週末に福島から一人で特急列車に乗り、片道3時間強の道のりを通った。1985年に読売サッカークラブ女子ベレーザ(現日テレ・ベレーザ)に入団。その後、女子代表として2度のワールドカップ杯、五輪でプレー。2016年から現職。「東京キラキラFOOTBALLスクール」でも指導に当たっている。

取材・文/小田舞子(日経xwoman編集部) 写真撮影/鈴木愛子