本物に触れる教育と、心の教育の両輪により、自律心を備えた自立した人間を育成している明星中学校・高等学校。幼稚園から高校までが1つのキャンパスに立地する学園としての統一感のある教育も魅力で、世界のリーダーとなる人材を育成する教育プログラムも順調に滑り出した。近年の教育改革と今後の方向性について、校長の畠山武先生に聞いた。

主体的な学びを効果的に行うための心の教育

 明星中学校・高等学校の原点は「体験教育」にある。教員から「教わる」のではなく、体験を通して「学んでいく」ことで、物事の本質を理解していく能力を身につけさせようというわけだ。こうした主体的な学びには、あるがままの事実を受け入れ、それを自らの学びへと深めていこうとする精神が求められる。その精神を培うために同校が力を入れているのが、心の教育だ。

 その中心になっているのが、創立以来受け継がれてきた精神統一「凝念」だ。姿勢をただし、手を下腹部において、心の働きを一点に集めるために行う瞑目のことで、各授業の前はもちろん、全校集会や体育祭、文化祭といった行事の前などに行うことで、心を落ち着けて物事に取り組むようにしている。

 「修学旅行の集合場所など、町中の騒がしい場所であっても、『凝念』と声がかかれば、全員がその場で静止し、話を聞く態勢になります。毎日、毎授業の度に心を落ち着ける訓練をしているからこそ、一瞬で集中できるようになるのだと思います」と、畠山武校長は語る。

国際社会で活躍するリーダーを育てるMGSクラス

 グローバル化の進展と、ITやAIなどの高度な科学技術の発展により、今後の社会は大きな変革期を迎える。そのため、同校では3ステージ制の6年一貫カリキュラムのなかに、国際教育、理科教育、ICT教育、キャリア教育を随所に散りばめ、グローバルな視点を持った人材の育成に力を注いでいる。

 クラス編成は、目的と学力に応じて「本科クラス」と「MGSクラス」が設置されている。本科クラスは、基礎の徹底を基本に、一人ひとりの進路実現に向けたきめ細かなサポートを行っている。学校生活を充実させながら希望大学を目指すことを目標にしており、学力の伸びと意欲によっては、MGSクラスへの編入も可能だ。

 MGSクラスは、グローバル時代のリーダーの育成を目指すクラスで、そのための特別プログラムも豊富に用意されている。中学、高校ともに設定されており、高校では始業前に0時間目を設置して、大学受験に必要な授業を行うこともある。国公立大、超難関私立大学を目指し、基本的には一般受験での志望校合格に向けて努力していく。

 「MGSクラスを設定してから、高校からの受験生が増えています。先が見えない時代だからこそ、しっかりとした教育を受けさせてやりたいという保護者の気持ちに合致したのだろうと思います。それだけ教育内容に期待が集まっているわけですから、先進的なプログラムで、高い能力を育んでいきます」(畠山校長)

 MGSクラスの目玉は、高1の春休みに実施する「ボストン・リーダーシッププログラム」だ。10日間ほどの日程で、ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)などを訪問し、現地の大学生とディスカッションを行うものだ。初年度は22名が参加したが、今年は50名を超える生徒が希望しているという。

 「初年度の生徒に感想を聞くと、異口同音に『初めて“世界”というものを認識した』と返ってきました。自国や地域だけでなく、常に世界の課題について考えている大学生に接したことで、視野が大きく開かれたようです。国際社会でリーダーシップが発揮できるような人材育成を目指すクラスとして、生徒にとてもいい刺激を与えているようです」と畠山校長は目を細める。

フィリピン・セブ島の語学研修で英語力が飛躍的にアップ

 国際教育は、中学・高校のすべての段階で、所属クラスに関わらず実施されている。中1では英語漬けの4日間を過ごす「English Camp」、中2と高1では40人以上のアメリカ人と共にミュージカルを作る「ヤングアメリカンズ」、中3ではフィリピン・セブ島での語学研修が用意されている。また高2では、ニュージーランド、ベトナム、台湾の3カ国から選択する体験型修学旅行が行われる。

 フィリピン・セブ島での語学研修は、毎年11月に行われるプログラムで、中3生の全員が参加する留学だ。基本的に本科クラスは3週間、MGSクラスは4週間の予定だが、希望すれば、本科生も4週間のプログラムを受けられる。土日を除く毎日、マンツーマンの語学研修が6時間、4人グループでの英会話レッスンが2時間と、8時間もの英語学習が組み込まれたハードな留学だ。それだけに、教育効果も高い。

 「MGS生は、出発前は準2級保持者が10数%でしたが、帰国後の12月に受けた英検では、67%の生徒が準2級を取得しましたし、3級以上の保持者は94%になりました。本科生も、12月の段階で3級保持者が全国平均を大きく上回る72%とおり、従来はいなかった準2級取得者も10%になりました」と、畠山校長は説明する。

高大連携を強化し、豊かな学びを提供

 同じ法人が経営する明星大学とのコラボレーションも強化している。たとえば、高校生向けには、同大学からプレゼンテーション技術の専門家が複数の教員とともに訪問し、プレゼンテーションの方法をレクチャー。高校生レベルを超える厳しい指摘を受けることもあり、生徒のプレゼンテーション能力は年々向上している。

 e-ポートフォリオの書き方についても、明星大学の教員が、高1生のオリエンテーションで指導している。e-ポートフォリオは、すべての学習記録を可視化することで、自らの成長過程を確認するツールであり、自分を客観視するのに有効なため、AO入試や推薦入試などの際にも、大いに役立つはずだ。このほか、明星大学のボランティアサークルが、同校の高校生ボランティアを指導してくれるなど、あらゆるレベルで高大連携が深まっている。

 「幼稚園、小学校の保護者に対しても、積極的に中高の学びを紹介していますし、今後は、小学校からの内進生も増えてくるのではないかと期待しています。将来的には、学苑が一体となって教育していく仕組みにつなげていきたいと考えています」と畠山校長は抱負を語る。

大学の教室のような視聴覚教室
校舎屋上にあるSTAR DOME
映画にでてくるような図書館

明星中学校・高等学校の詳しい説明はこちら
「子どもが輝くための私立中高一貫校ガイド」はこちら