日本でもいよいよ増え始めた男性の育児休業(育休)取得。夫婦にも親子にも、最初は少し驚いていた部署の仲間にも、たった1人のパパの育休を通しさまざまな変化が起きるらしい。6人の育休体験パパのリアルな感想から聞いてみよう。

厚生労働省もイクメンプロジェクトにおいて男性の育児休業取得を推進し、徐々に環境が整いハードルが下がってきたとはいえ、男性の育休取得例が未だにない企業も多い。妻は僕に育休を取ってほしいのだろうか。上司にどう切り出そう。収入減は痛いよなぁ。職場復帰はうまくいくのか。――湧き上がる疑問の答えやヒントは、既に育休を取った先輩たちのナマの声にありそうだ。早速、紹介していこう。

山本竜哉さん(会社員・課長職)の育休

家族:妻(教員)、長男(11カ月)
□ 双方の親は頼れないため2人で乗り切る決意
□ 出産予定日半年前から業務の棚卸を進める
□ 復帰後は最高のイクボスを目指すようになった

妻の実家は遠方であり、自分の実家は家業をしているので、いずれも頼ることができません。妻の妊娠が分かってすぐ、2人で一緒に育児をしていこうと話し合い、私の育休取得も決めました。期間は、きっと妻も子どもも落ち着くまでの産後直後の1カ月半としました。実は当初、僕は育休を取得したいとはあまり思っていなかったのですが、出産予定日が近づくにつれ、父親としての自覚が芽生えてきたためでしょうか、気持ちが前向きになり、育休取得を決めてよかったと思いました。

職場には半年前に伝え、業務の見える化を推進

出産予定日の半年前、評価面談の席で上司に報告。既に管理職(課長)の立場として、急な人員不足を避けるために派遣社員の正社員登用など進めていましたし、男性従業員の育休取得の前例もあり、「育休を取得してはいけない」という空気が僕の職場にはなく、助かりました。

仕事の引き継ぎのために、まずは業務の棚卸しを行い、僕の業務の見える化を実施し、各業務に対して引継事項一覧を作り、順に引き継ぎました。管理職である私の承認作業は上司と相談し、その内容ごとに部下の中から代行者を決定しました。

移管できない業務に部下の人事考課があります。これは人事部門と調整の上、上期評価の書類提出と面談を前倒しして行い、下期目標設定は私の育休明けにずらすように調整して対応しました。

育休中は家事全てを担当。新生児との6週間は貴重な時間

育休中は妻の体調ケアのため、掃除、洗濯、買い出しなどの全ての家事を基本的には自分がしました。育児についてはミルクを飲ませることやおむつ替えを主に担当。実際に子どもの世話をすることで、育児の大変さを実感でき、生まれてからの約6週間という実に貴重な時間を過ごすことができました。

育休を終えた現在も、風呂場の掃除や子どもの着替えなど、限られた時間の中でできる限りの家事と育児を行っています。

自分の経験を踏まえ、理想のイクボスに

以前は、今ある仕事は早く片付けてしまいたいと考えるタイプでしたが、育休取得後は「明日できる仕事は明日やる」と決め、メリハリをつけて課題に取り組むようになり、効率にも意識が向きました。

実は、育休取得前は、有給休暇を取得することにすら、少し抵抗を感じていたのですが、今では休んでも何とかなると実感。最近は部下にも積極的に有給休暇を消化してもらいたいと考え、マメに声掛けしています。子どもを持つ同僚や部下たち自身の大変さもよく理解できるので、部署全体で良好なワーク・ライフ・バランスを実現し、理想的なイクボスになることが今の目標です。