勉学だけでなく、スポーツ活動や芸術・文化活動で高い実績をもつ生徒が数多く在籍している昭和学院中学校・高等学校。その特色をいっそう鮮明にするため、創立80周年にあたる2020年から、新しいコース制を導入し、グローバル人材育成にも力を入れる。合わせて制服も一新する。こうした一連の教育改革の狙いについて、校長の大井俊博先生に聞いた。

従来の教育を「変えない」ための新コース制

 昭和学院中学校・高等学校は、高校生活を十分に楽しみつつ大学に進学する生徒が多いことで知られる。各種スポーツ競技でトップレベルの成績を残しながら、勉強にも打ち込む“文武両道”が、同校の伝統として根付いている。

大井俊博校長先生

 「本校には多様な才能を持つ生徒が集まっており、その渾然一体とした学び合いの中に個別指導を組み込むことで、各自の希望進路へと送り出してきた歴史があります。この姿勢は、創立80周年を迎えてもいささかも揺らぎません。むしろ、多彩な進路の可能性を明確に示すために、新しいコース制を導入するのです。昭和学院は“変わらない”ために“変わる”ことを選択したのです」と、大井俊博校長は語る。

 新コースは、大まかな進路別になっている。早くからコースに分かれることで、将来設計に対する意識を高めると同時に、同じ志を持つコースの仲間たちと協働することで、目標進路に向けた豊かな学びの機会も増える。その過程で、“行ける大学”ではなく、“行きたい大学”を探すように促していく。自分の将来について意識化を促すことが、新コース制導入の最大の目標といえる。

海外志向のコースと、最難関大進学のコースを新設

 新しいコース制は、2020年度入試の入学者から適用される。中学は、IA(インターナショナルアカデミー)、AA(アドバンストアカデミー)、GA(ジェネラルアカデミー)の3コース制とし、中学3年から、AAコースを、TA(トップグレードアカデミー)、AA(アドバンストアカデミー)、AA(アスリートアカデミー)に分けて全5コースとする。高校からの入学生も、内進生と混ざる形で5コースに分かれる。

 「中学1・2年の段階は、IAとAAは同じクラスにするつもりです。中学入試の応募者が増えているため、IAとAAの混成クラスが2クラスになる可能性もありますが、海外志向の強い生徒と、学業でがんばりたい生徒を一緒にすることで、相互に刺激し合える環境を作りたいと考えています」(大井校長)

 IAコースは、海外大学への進学や、ICU、国際教養大学、東京外国語大学、上智大学などの語学・国際系の大学進学を目指すコースで、ネイティブ教員と日本人教員の2人担任制を導入する新コース制の目玉の1つだ。英語の授業はオールイングリッシュで、短期留学や長期留学などのプログラムも豊富に組み込まれている。

 TAコースは、東京大学など最難関国公立大学や医学部への進学を目指すコースで、厳しい成績基準を持った従来にないコースだ。英国数3教科の教員による複数担任制をとり、少人数指導による1人ひとりに合わせたハイレベルな学習指導を行うことで、高い目標を目指して主体的に学習していく態度の育成に力を入れていく。

ハイレベルな文武両道を目指すアスリートアカデミー

 中3で3種類に分かれるAAコースのうち、アスリートアカデミーコースは、部活動に力を入れながら難関大学を目指すもので、スポーツに強い同校の特長が端的にあらわれたコースといえる。筑波大学や早稲田大学など、スポーツ成績も学業成績も求められる大学などへの進学を想定しており、授業は6限目までとし、部活動の時間も十分に確保する予定だ。

 GAコースは、高校生活を楽しみながら、大学進学や専門分野の強化などを目指すコースとして設定する。最大の特色は、看護系、芸術系、音楽系など、生徒の進みたい進路に合わせた、多彩な選択科目が用意されることだ。探求学習を行う機会も豊富にあり、少人数のゼミ教育のような形の授業もある。

 「自分の将来を自らデザインする、キャリアデザインに力を入れたコースといってもいいでしょう。警察官や自衛官などの公務員を目指す生徒や、プロアスリートを目指す生徒など、最も多彩な進路に対応できるコースでもあります」(大井校長)

年間を通して泳ぐことができる屋内プール
広い図書館は2層になっている。上層階に自習室がある

制服も一新し、全員留学も実施

 2020年度から、制服も一新する。これまでのグレーとグリーンの基調色から、紺のブレザーに変更し、生徒の見た目のイメージをガラリと変える。大井校長は、「創立80周年を機に、本校が本気で新たな一歩を踏み出すということを、内外に広くアピールしていきたいと考えています」と抱負を語る。

新しい制服

 教育内容も一層の拡充を図っていく。これまでの実績をベースに全学年のあらゆる教科でICTを活用した教育が行われているが、今後も、生徒が主体的に考え、話し合い、まとめ、発表するといった、新しい学力観に基づいた授業展開をレベルアップしていく。

 「どの授業でも、プレゼンテーションの機会を増やしており、生徒のプレゼンテーションの能力は飛躍的に向上しています。今後の社会人に求められる重要な力として、引き続きプレゼンテーション能力を高めていきます」(大井校長)

 留学プログラムにも新たな展開がみられる。たとえば、中学卒業後の春休みに実施していた希望制のオーストラリア語学研修は、2020年度から中3の120名が全員参加する形になる。4校に30名ずつ分かれホームステイをし、英語のレッスンに加えて現地の学校の授業も受けるようなプログラムとして生れ変わる。

 高1を対象に、カナダで実施してきた3週間の「海外教育研修」も、新しい形の海外研修に切り替える。2週間に期間を縮めるかわりに、学校の授業と関連したような学びを含む研修プログラムとして、アジアやヨーロッパでの展開も視野に入れている。高2の修学旅行も昨年から台湾に行き先を変更しており、異文化を体験する機会はさらに増えるはずだ。

台湾を訪ねた修学旅行

 「こうした交流を通して交換留学の可能性が出てきましたから、近いうちに実現させるつもりです。グローバル時代を生きる生徒のために、IAコースだけでなく、全生徒が国際的な視野を獲得できるような環境整備に力を入れていきたいと考えています」(大井校長)

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