子どもの頃、目が悪くなるからテレビから離れなさいと親に注意された記憶はありませんか。今では大人も子どもも、テレビならぬスマホやPC画面に至近距離で“くぎ付け”の毎日を過ごすように。文部科学省によるGIGAスクール構想も本格始動し、デジタルツールを使う学習時間も急増。そろそろ、子どもたちを主役とした、21世紀スタイルの「目の健康習慣」をつくるべきタイミングです。

夕方からのブルーライトで眠りの質がダウン。登校にも悪影響

 スマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)画面から発せられるブルーライトが気がかりというパパ・ママは多い。学びや将来の夢にもつながるインターネットやデジタルツール。子どもの利用を必要以上に制限せず、使い方をナビゲートするためには、まず改めてブルーライトについての知識を深めておこう。

 人間の目でとらえることのできる可視光線の中で、波長が最も短い(380~500ナノメートル)青色光がブルーライト。角膜や水晶体を通して網膜まで届く強いエネルギーを持ち、PCやスマホ、疲れ目などとセットで語られ、悪者扱いされることが多い。しかしブルーライトは朝の太陽光に多く含まれ、人間の1日の体内リズム(サーカディアンリズム)を整えたり、健康を維持したりする上で重要な役割を果たすといわれている。

 網膜にブルーライトが到達すると睡眠を司るホルモン(メラトニン)の分泌が抑えられることで覚醒し、午後になれば自然界のブルーライトの影響が徐々に減ることでメラトニンの分泌量が増える。朝の目覚めにも入眠や睡眠の質にも、大きく関係する光、といえるだろう。

 つまり、用心すべきは「午後以降のブルーライト」といえそうだ。下のグラフの通り、PC、スマホ、そしてゲーム機は、特にブルーライトを多く発している。液晶テレビしかり。現代人は、ブラウン管テレビ時代とは比べものにならない程、ブルーライトを浴びる時間や場が増えている。

ブルーライトを放出する機器の中でもスマホ、ゲーム機、PCの放出量が特に多い。テレビでは、液晶はブラウン管タイプの3倍超を放出。日没後、自ずとブルーライトの影響が減っていた時代と現代のライフスタイルの差を知り、健康管理のための習慣をバージョンアップしよう
ブルーライトを放出する機器の中でもスマホ、ゲーム機、PCの放出量が特に多い。テレビでは、液晶はブラウン管タイプの3倍超を放出。日没後、自ずとブルーライトの影響が減っていた時代と現代のライフスタイルの差を知り、健康管理のための習慣をバージョンアップしよう

 学校の授業でPCに向かい、プログラミング教室でアプリを作り、時にはスマホで動画サイトにハマり、宿題でもPCやタブレットが必要となった昨今、かけがえのない学習チャンスや好奇心を育みながら、ブルーライトと賢く向き合う方法は、大人が考えてあげる必要がある