コロナ禍でネット通販やオンラインサービスを利用する機会が急増。実はその陰で、子どもたちがトラブルに巻き込まれる事例も増加しています。夏休みシーズンを前に、ぜひいちど、インターネットを賢く、安全に使うためのコツを親子で話し合いましょう。

ネット通販支出、前年から4割増

 「コロナ禍を受けたネット通販の増加は、データにも大きく表れています」と話すのは、成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さん。ネットショッピング支出は1年で4割以上増加※1し、総合ECサイト需要も新型コロナウイルス流行前後で26.1%拡大※2したといいます。

 「これまでは実店舗での対面購入が多かった食品や家電などのほか、PCや椅子などテレワーク関連グッズへの支出が増えています。もともとワーキングマザーは食材宅配やミールキットなど通販利用頻度が高いのですが、コロナ禍でそれがさらに加速し、シニア層のデジタルシフトも目立ちます。今後、感染が落ち着いても、ネット通販の“手軽さ”を経験した方は、このまま利用を続けるのではないでしょうか」(高橋さん、以下同)

増える通販トラブル 自衛の意識強化を

 ネット通販の拡大に伴ってトラブルも増加。現在、国民生活センターでの相談のうち、通販関連のトラブルは3割を占め、「特に未成年の増加率が高く、前年比1.8倍に達しています」と高橋さんは指摘します。

(写真はイメージ)
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 「『偽物が届いた』『説明と実際の商品が異なった』『お試しで買ったつもりが、実は定期購入契約になっていた』といったトラブルが増えています。ネット通販は基本的にクーリングオフ対象外。なので、返品・解約条件はどうなっているか、販売事業者の連絡先に電話番号があるか、住所は不完全でないか、URLはきちんとしたものか、値引き率が大きすぎないか、等々を必ずチェックし、自衛することが重要です。また、支払い方法が銀行振込のみのものより、クレジットカード払いや代金引換払いなど複数用意されているもののほうが安全な傾向もあります」

 さらに、近年とりわけ大きく増えているのが個人情報を狙うフィッシング詐欺。大手ECサイトや宅配業者を装ったショートメール(SMS)が届いたり、SNSで企業の公式アカウントを模し、偽キャンペーン当選の連絡をして個人情報を登録させたりするなど、その方法も巧妙化しています。面倒でも公式のサイトやアプリからきちんと真偽を確認する習慣を身に付けましょう。

 こうしたトラブルに備えるために、「決済手段の選び方も重要」だと高橋さんはアドバイス。

 「消費者庁のキャッシュレス決済に関する意識調査(2020年10月実施)において、よく利用するキャッシュレス決済手段はクレジットカードが約8割と最多でした。ECサイトでの利用に手数料がかからず、ポイントがたまるなどメリットも魅力です。しかし、利用しているクレジットカードのセキュリティ内容や補償内容に目を向けている方は意外に少ないのではないでしょうか」


※1 総務省統計局の調査によると、1カ月あたりのネットショッピング支出の全国平均は、2020年3月から21年3月までの約1年で4割以上増加(家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について[二人以上の世帯]2021年5月11日発表より)。
※2 2020年12月MMD研究所調査結果より。