1903年、真言宗豊山派によって開校された旧制「豊山中学校」を前身に、1954年に学校法人日本大学が設置する日本大学付属校唯一の男子校としての伝統を守り続けている日本大学豊山中学校・高等学校。共学化に舵をとる学校が増える中、「強く、正しく、大らかに」を校訓に、あえて「男子力日本一」を目指す。

広報主任の田中正勝先生。”男子力”について熱く語って頂いた

多様な個性をのばす男子だけの環境

2015年に竣工した新校舎。護国寺駅1,2番出口(現在工事 により閉鎖中。2019年12月に工事終了)からは徒歩約5秒。最新設備に中高合わせて約2200名の生徒が集う学び舎だ

 共学化に踏み出す学校が多い中、男子校は時代に逆行しているのでは?とはよく聞く言葉だ。しかし、同校の広報主任・田中正勝先生によれば「女子生徒がいれば勝手に役割分担をしてしまうことも、性別にとらわれず、すべて男子が経験できるのが男子校のよさです。そんな環境で個性豊かな男子の成長を助け、羽化させたいと願っています」とのこと。実際、部活動の合宿では、共学校なら女子マネージャーが行いがちな洗濯や配膳もすべて男子が行うことになる。

 「家なら母親、学校なら女子に頼りがちですが、それは楽だから。身近な異性への甘えでしょう。でも、男子校では身の回りのことを、少なくとも学校では男子がすべて行います。保護者、特にお母さんは、男子校の経験がないので不安がられますが、卒業する頃には男子校のファンになってくれます。というのも、反抗期にはぶっきらぼうでも、本校の生徒は優しく育つからです。6年間で最後のお弁当の日に、きれいに洗った弁当箱に感謝の手紙が入っている、そんな報告も保護者の方からあります」

 そんな優しさの報告は、街の人たちからも寄せられる。「公園に落ちているビンの割れガラスを、小さな子どもが遊ぶのに危険だからと拾い集めていた」「駅で転倒した女性を介助した」など枚挙にいとまがない。こうした生徒の行いには、学校長より「善行賞」が贈られ、周囲に認められる機会が設けられる。

 「本校はよく、オリンピック候補になるなどスポーツ選手のイメージが強いと言われますが、私たち教員からすれば、こうした善行を行う生徒や、ギネス超えの昆虫博士、精密なジオラマ作製を得意技とする鉄道部など、文化系でも体育系でも輝いている生徒がたくさんいます」と田中先生。体力面だけで優れている男子のみを「男子力がある」とするのではなく、一人ひとりが自分の個性を輝かせる多様性の中に男子力を見出すというのだ。そんな力を身につける環境は、どんな教育に依拠するのだろうか。

災害時対応なども考慮され校舎最上階に設置された屋内プー ル。コース数は10を有する。オリンピック候補の吉田啓祐選手はこのプールで実力を磨いた同校水泳部OBだ

難関大学希望者への支援も手厚い6年間の学びの蓄積

 まずは日本大学の付属であることを活かした高大連携に注目したい。日本大学は16学部87学科を有する日本屈指の総合大学である。多彩な夢をもつ生徒たちだが、このマンモス大学の付属校として、豊富な選択肢が与えられる。「日本大学なら、ほとんどの学問分野を網羅しています。文系理系に分かれる前に、中3の時から、どこの大学に行くかよりも、どの学部に入りたいかを考えさせ、実際に日本大学の学部見学にも行きます」

 また、日本大学の授業を、高校在学時に受けて単位修得もできる。たとえば、法学部と経済学部の必修科目を、高校2・3年次に履修できる。都心という立地を活かした制度だろう。修得した単位は、日本大学に入学した場合、卒業単位として認定されるが、何よりキャンパスの雰囲気を知り、学びたい学問とのマッチングを確認できることがメリットだ。

 一般的に英語や英会話に関心の高い女子が多く、共学校では女子の積極性に押され気味になるグローバル教育も、男子校ゆえによりチャンスが増える。ハワイへの修学旅行(2019年度実施)、カナダへの語学研修ホームスティ、校内英語スピーチコンテスト等々。アクティブ・ラーニングの一環として、放課後にネイティブ講師と自由に会話ができるフリートーキングプログラムも、女子に気兼ねすることなくのびのびと英語を話すことができる。また、ケンブリッジ大学で17日間行われる語学研修「ケンブリッジ研修」に選抜された参加者や、校内英語スピーチコンテストで優秀な成績をおさめた代表者は、すべての日本大学付属高校からの選抜者と交流しながら、切磋琢磨することができる。

 もちろん、日常的な学習サポートも万全だ。中学入学時には、あえて特進クラスを作らず、PDCA(計画・実行・評価・改善)を取り入れた教育システムを実施している。授業と部活動を両立させ、中学生からタイムマネジメントをしっかり行えるような指導を行うためだ。生徒一人ひとりにタブレットを持たせ、自己管理のトレーニングをすると同時に、学習記録をつけさせる。このタブレットは、ふだんの授業でも活用し、調べ学習やプレゼンテーションなど生徒主体の学習を行う。

 また、中学ではMAPという10分間の朝テストで、授業の理解度を確認し、毎日の学習の積み重ねを大切にすることを重視する。「嫌いな教科をつくってほしくないんです」と田中先生。現代は、文理融合した学際的な学問が多い。虫の好きな生徒が、生物系に進学せずに、虫の生息地を地理的な視点で学ぶために文系に進学したケースがあるそうだ。「多彩な視点をもつことでもっと可能性を広げてほしい」と田中先生は話す。成績が足踏みしやすい中2の時期には、4日間のスペシャル合宿を行う。全員が学習習慣を身につけ、中3から特進クラスと進学クラスに分かれる。英検、漢検、数検の取得も推奨し、対策講座も実施する。確かな学力をつけて、高校へと進学する。

 中高を通じて導入しているチューター制度では、様々な大学で学ぶ卒業生が、放課後の自習室で学習のサポートをしてくれる。年齢が近い先輩という立場から、勉強だけでなく、個人的な相談にものってくれるため、多感な年頃にうれしい制度だ。

 約8割が日本大学に進学するが、数々の学習支援は、難関大学など他学への進学希望者にも手厚いサポートとなる。さらに、国公立大を受験する場合は、日本大学(一部の学科を除く)への推薦枠を放棄する必要がないため、安心してチャレンジできるのもうれしい。

 「入り口である入学時には頼りなくても、6年間の手厚い教育の中で、生徒同士が刺激し合い、出口となる卒業時には、大きく化けて出ていきます」と田中先生。生徒一人ひとりの将来を見据え、日本大学というグループ全体が支える教育がここにある。なかでも「男子力」を育む男子校ならではの、のびのびした環境に期待できそうだ。

”男子力”は運動部生だけのものではない。好きなことに 熱中できるのが男子力なのだ。自分の好きなものを見つけ、友達と一緒になって活き活きとした中高生生活が送れる環境が同校の魅力だ

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