ママやパパだけでなく、すべての人が働きやすい職場に
男性の育休取得は、会社にすべてをささげてきた世代にとっては理解に苦しむものかもしれない。また独身だったり、子どもがいない夫婦だったりした場合には、育休を取った人の仕事のしわ寄せがきていると内心不満に思っている人もいるだろう。しかし、「目指すべきなのはパパやママだけが働きやすい職場ではなく、すべての人が働きやすい職場を作ること。そして、その職場を作るのは会社だけでなく私たち自身」と林田さんは続ける。
「育児中や介護中の人には配慮が必要だけれども、それ以外の人には何の配慮もない、というのは不公平な話です。育児以外にも、自分の人生を充実させるために時間や休暇が必要という人はたくさんいます。そうした人たちへの配慮もあって初めてお互い助け合おうという空気が醸成されるのです。一方的に負担や理解を求めるのではなく、すべての人が互いに配慮しながら働ける。そんな職場環境を、会社任せではなく、一緒に作ってほしいと思います」
職場では、家庭と仕事のバランスをうまく取って働きたい人、趣味や仕事以外の活動を充実させたい人、もっと仕事をしたい人、様々な人が共に働いているはず。お互いの自己実現を支援し、配慮し合いながら、会社全体を盛り上げ、前に進んでいく。みんながウィンウィンになれるような、そんな方向に進んでいけば、今回のような件はなくなっていくのではないだろうか。
取材・文/日経DUAL編集部 田中裕康 イメージカット/PIXTA