今、大切にされているのは「子どもの主体的な活動」

治部 聞いていると「何となく不安」という理由で早期教育をする必要はなさそうですね。

寺町 教育産業は、時に脅迫的な文言を親に突き付けてきます。「何歳までに●●できないと将来がうんぬん」といった具合に。でも、最近では、未就学児のとき、のびのびとした環境で保育を受けた経験が、学齢期以降の教育にもよいと言われているのです。本にも書いたのですが、現在の幼児教育や保育の中で大切にされているのは「子どもの主体的な活動」です。これは「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型こども園教育・保育要領」にも共通して盛り込まれ、小学校生活へのスムーズな移行についても、考えられています。

治部 本の中では「よい園」は、運営形態の違いを問わず共通している、と書かれていたことに納得感がありました。

寺町 未就学児のお子さんの環境も多様化していて、幼稚園、保育園、こども園と選択肢があります。本の最初に複雑な制度を一つにまとめて理解できる表を作って載せています。それぞれ、運営する団体が学校法人だったり宗教法人だったり、社会福祉法人だったり、または基礎自治体や企業ということもあり様々です。でも根底にある大事にすべきことは「主体性」であることは共通していて、興味深いです。

 2018年4月から施行されている新しい学習指導要領では「主体的で、対話的で、深い学び」を重視するとしています。こうした方針を知ると「よい園」で大事にしていることと学校教育の方向性に連続性があることが分かると思います。

治部 私事になりますが、私の子どもは2人とも小学生なので、今のお話は納得感があります。未就学児のときに、教え込むような「教育」をしなくても、思い切り遊び、好きな本を一緒に読んでいるうちに、自然に小学校生活にも馴染んでいきました。ところで、園生活において、屋外での遊びはどうでしょう。試行錯誤して失敗すると、下手をすればけがします。先ほどお話のあった「安全」にも関わってくると思います。