キーッとなったのをきっかけに、夫に家事シェアを提案

 わが家は共働きです。結婚当初、私は夫に頼むよりも自分でやったほうが早いと思って、何でも自分一人で頑張っていました。そうしていたら、どうなるか。読者の皆さんにも経験があるかもしれませんが、あるとき、いっぱいいっぱいになって「キーッ」となってしまったんです。

 そこで「これではいけない」と思い、夫に「一人では無理。家事を一緒にやってほしい」と提案して、家事をシェアするようになりました。夫も私が「キーッ」となっているよりも、家事を分担しているほうが気楽だったみたいです。

 しばらくは、夫の家事のやり方が私と違うことが気になったり、手際が悪いことが不満で、せっかくやってもらったのにやり直したくなったりということもありました。でも、「家事を分担することが大事。せっかくやってくれるんだから、夫のやり方に任せてみよう」と考えるようにしたら、やり方の違いはあまり気にならなくなりました

20歳になる息子には「一瞬一瞬を幸せに過ごしてほしい」

 息子は小さいころから今までほとんど病気をすることもなく、あまり手がかからない子でした。看病で仕事を休むといったことはほとんどなかったと思います。もうすぐ20歳になりますが、少しだけ心配なことがあります。それは、仕事で忙しい私に対して、彼はちゃんと自分を出せているのかなということ。すごく優しい子なので、私に気をつかって言いたいことも我慢しているのではないかと思うんです。「年齢なりにもっとはっちゃけてもいいのに」と思ったりもしますね。

 来年成人式を迎える息子とは、最近色々なことを話したり、私が彼に相談を持ちかけたりするようになりました。「面白いイベントをやっているから行ってみる?」とお互いに声をかけ、一緒に出かけることもあります。

 息子が生まれてから「将来こんなふうになってほしい」といった希望を持ったり、期待をかけたりすることはありませんでした。ただ、思うのは一瞬一瞬に「幸せだな」と思えるように過ごしてほしいということです。すごく頑張り屋ですし、やや完璧主義なところがあるので、無理をしないでいてくれたらいいですね。「気楽にやったら?」と、日ごろから言うようにしています。

最新出演作では現代のワーキングママを演じています

 2016年から、『男はつらいよ』の山田洋次監督の新シリーズに出演していますが、3作目の『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』にも出演させていただきました。

 3作目は、私が演じている成子の兄である長男の妻・史枝の家出がテーマになっていて、家族思いでしっかり者の成子は、家出の原因を作った兄とケンカになります。これまで兄を「兄さん」と呼んでいた成子が、今回「お兄ちゃん」と叫びながら夜道を追いかけるシーンがあって、「あ、(寅さんの妹の)さくらみたいだ」と思いました。山田監督も意識されたそうです。

 成子は日経DUALの読者の皆さんにもいそうな共働きのキャリア女性です。これまでのシリーズには、子どもの習い事に熱を入れたり、夫の高い買い物に悩んだりするシーンがありました。皆さんにかなり共感していただけるキャラクターだと思います。

『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』
5月25日(金)公開 配給:松竹 公式サイト:http://kazoku-tsuraiyo.jp/

(取材・文/清水久美子 構成/日経DUAL編集部 福本千秋 撮影/小野さやか ヘアメイク/氏家恵子  スタイリング/轟木節子)