小竹 下の娘は、年末に生まれて4月には保育園に預けました。上の娘のときは、保育園には1歳まで入れず、離乳食をちゃんと進めなくてはと思って本を読みながら、正しいのかは分からない不安なまま取り組んでいました。

 しかし、下の子が保育園に入ったら「お母さん、こういうスケジュールで離乳食を進めます」というカレンダーをもらって、その通りにきちんとやったらすごく楽になったんです。「これは何ですか?」などと聞けば「かむ力をつけたいからこの時期にこういったものを入れます」など食の悩みにも栄養士さんや調理師さんが答えてくれました。保育園のメニューと一緒に、「子どもたちをこうやって育てました」などとも書いてあって、保育園から多くを学びました。

米倉 今は核家族化も進み、近くに聞ける人がいないという人にとっては、保育園が身近な存在になっているそうです。子どもの問題を見つけだしたり、支援したりするのに、保育園は大きな役割を果たしています。

小竹 しかも、保育園って毎日給食で出たものが飾ってあるじゃないですか。そうすると「家で食べていないものも、保育園では食べてるんだ」とか「こんなにたくさんの量を食べられてるんだ」ということも、とても分かりやすかったです。

米倉 そうですね。保育園は子どもの生活の場であるだけでなく、保護者の食に関する興味や関心の再回帰させてくれたり、アップデートできる場所にもなっている気がします。

小竹 これは食育基本法の制定が影響しているのでしょうか?

米倉 いいえ、実はもともと保育園では食育というものは長く行われてきているんです。しかし、食育基本法が制定されてからは、食育をあまり意識してこなかった保育園などでも食育を進めるようになってきたんですね。自治体の中でも「食育を推進する」という位置付けが計画の中ではっきりしてきて、自治体や園ごとに「○月にはこれをしよう」とか「2歳ではこんなものに触れていこう」など、中・長期的な視野で食育を推進するところが増えてきています。

忙しい家庭は毎回一緒にごはんは無理。見直されつつある「共食」

米倉 第3次食育推進基本計画を作成するころ、社会環境や食環境が大きく変わってきたなかで、これまでと同じ進め方でいいのだろうかと計画作成中に担当者間で話をしていました。

 例えば、DUAL読者など忙しいご家庭では、生鮮食品だけを使って丁寧に毎日料理をする……というのは無理な方も多いのではないでしょうか。一緒にごはんを食べるという「共食」もこれまで進めてきていますが、実際には毎食一緒に食べるのは難しい。では「共食」とはなんだろうと、私たちの中でも改めて見直す機会でした。今の生活でできることを改めて認識した上で食育を進められたら、それぞれ身の丈にあった無理のない共食を実践できるのではないかなと感じました。