自分の力でよりよい未来を切り拓いてほしい──親なら誰もが思うことではないでしょうか。そんな未来に生きる子どもたちに必要とされているのが「自分力」です。それには早期の幼児教育がカギを握るといわれています。脳の発達における幼児教育の重要性と、早期幼児教育に力を入れる幼児園について探ってみました。

幼児期の質の高い教育は脳科学的にも重要

「脳内の神経ネットワークは3歳までに約8割が形成され、しっかりした土台が築かれるのは4~5歳まで。ここで知性や運動能力のベースがある程度決まり、特に対人関係で重要視されるソーシャルスキルなどは、その時期までに育まないと変えにくいとされています」

 こう語るのは、脳研究者である東京大学大学院薬学部教授の池谷裕二さん。質の高い教育を受けさせ、子どもの能力を引き出してあげたいと願うのが親心というもの。個人差があり、何を教えるかにもよりますが、そういう介入は早くて損はないと池谷さんはいいます。

<b>池谷裕二(いけがや・ゆうじ)</b>さん<br> 東京大学薬学部 教授<br> 1998年、東京大学・大学院薬学系研究科にて薬学博士号取得。2002年から米・コロンビア大学に留学、14年より現職。神経生理学が専門分野で、脳の健康について探究している。18年より、脳の未知なる能力をAIを用いて開拓し、脳の潜在性の臨界点を探るERATO池谷脳AI融合プロジェクトの代表を務める
池谷裕二(いけがや・ゆうじ)さん
東京大学薬学部 教授
1998年、東京大学・大学院薬学系研究科にて薬学博士号取得。2002年から米・コロンビア大学に留学、14年より現職。神経生理学が専門分野で、脳の健康について探究している。18年より、脳の未知なる能力をAIを用いて開拓し、脳の潜在性の臨界点を探るERATO池谷脳AI融合プロジェクトの代表を務める

「楽器や言語など、音に関する学習は早ければ早いほうがいいです。自然に身につくことを“獲得”といい、言語は獲得するもので、誰でも身につきます。脳の中に言葉を話すプログラムがあって、生まれたときから聞いている母国語などは自然と獲得されていく。一方、中学生になってから初めて授業で習う英語は“習得”です。詰め込む習得に対して、獲得はスポンジが水を吸うように自然とできるようになるんです」

 AIで英語も簡単に翻訳できます。しかし、それをさらに発展させアイデアや創造につなげるには、はじめから英語が脳内にインストールされているほうが断然有利だとも池谷さんはいいます。

「英語をはじめ、親がいろいろな能力を早い時期に伸ばしてあげることで、子どもの将来の選択肢をより多く確保できることになります。

現在は、第4次産業革命の真っただ中。20年後には現存していない職業ばかりになるはずです。だけど、どんな世界が来ても適応できる“適応力”だったら今から育むことができるんです。

適応力の一番のもとになるのが好奇心。好奇心の塊ともいえる2~4歳の時期に、適応力の芽を伸ばしてあげるのがすごく大切だなと僕は思います。広い意味でいうライフスキルはそうやって培われていくのではないでしょうか」

 また、2〜6歳までは、さまざまなことを習慣化させるしつけに絶好の時期。このタイミングでの習慣化の一番の強みは、認知的負荷が少なくてすむ点です。

「ストレスなくいい習慣が身につくゴールデンエイジともいわれています。英語でも知育玩具でも、周りの保護者や大人たちが、環境を整えてあげることがポイントになると思います。朝の読書が習慣化すれば、それって一生の宝物ですよね。靴をそろえるなどの日常の生活習慣も、周りの大人が作ってあげてください。勉強も毎日決まった時間にしていれば、それが習慣化して、時間になったら苦もなく始められるようになる。そういう子のほうが成績もいいし、社会的にも成功します」(池谷さん)

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