いつどこで起こるか分からない災害。親子が離れているときに災害が起きたら、子どもは自分の身を守れるのでしょうか。防災備蓄収納プランナーの森下敦子さんは、そんな不安な気持ちから、仲間と共に子ども用の防災ポーチを開発。この春販売を開始しました。11アイテムに厳選した理由や、家庭で手作りでポーチを用意する場合のアドバイスを聞きました。

家の中の備蓄は、子どもが留守番時にも取り出せるようにしておく

編集部(以下、――) 日本は自然災害が多く、備蓄に関心が高い人は多いと思います。森下さんは防災備蓄収納プランナーとしてどのような活動をしているのでしょうか。

森下敦子さん(以下、敬称略) 実際に被災したとき、備蓄品を機能させるには、家の中にどのように収めておくかが大切です。備蓄品は日常に使うモノではないというイメージがあるので、押し入れの奥のほうにしまわれてしまうことがあります。そうすると、非常食が賞味期限切れを起こしやすくなります。納戸の奥に置いておいたら、被災時に他のものが倒れて、取り出せなくなることもあります。

 いざというときに備蓄品が使えるように収めるには、備蓄品以外のものの置き方を整えて場所をつくる必要が出てくることもあるので、その片付けも含めてアドバイスをするのが防災備蓄収納プランナーの役割です。

―― 子育て世代の備蓄収納で大切なことは何でしょうか。

森下 子どもが1人で留守番をしているときのことを考えて収納することが大切です。共働きだと被災したときに家に親がいないこともあるでしょう。その場合も子どもが懐中電灯や非常食を取り出すことができれば、停電になっても、ライトをつけて非常食を食べて過ごすことができます。

 そのためにはいざというときに出しやすい場所に備蓄品を収めるのがよいのですが、災害時しか使わないものを置くのはスペース的にもったいないですよね。そこで、お勧めしているのが、「もしも」と「いつも」を切り離さずに備えることです。

 電池や食品、ゴミ袋、ティッシュなどの備蓄は、日常品のストックも兼ねてしまえば、よく使う場所に置いても邪魔にはならないですよね。カセットコンロも動作確認を兼ねて月に1度使う日を設ければ、「もしも」と「いつも」がつながります。反対に、非常時しか使わない軍手や防災トイレなどは、多少出し入れしにくい場所でもよいかもしれません。

 もうひとつ大切なのが、備蓄に対して、家族みんなが関心を持つことです。備蓄品の在りかを夫が知らないということも時々聞きます。家族で「これはどこに置いたらいざというときに取り出しやすいかな」と話し合って、一緒に片付けたり、収納したりするといいですね。

森下敦子さん。防災備蓄収納1級プランナーとして、講座やメディアを通して、備蓄品の収納ノウハウを伝えている
森下敦子さん。防災備蓄収納1級プランナーとして、講座やメディアを通して、備蓄品の収納ノウハウを伝えている