前回の記事「【PR】預金より安心!? 個人向け国債とは?」では、「個人向け国債」について、『債券の基本とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)等の著書がある金融アナリストの久保田博幸さんに初歩から教えていただきました。今回は「外債」の魅力とDUAL世代に向けたお勧めの買い方について教えていただきます。

 前回の「個人向け国債」は、日本国が発行する債券なのに対して、外国の国家が発行する債券は「外債(外国債券)」と呼ばれます。
 「外債には、国家だけではなく、外国の企業が発行する債券も含まれます。また広い意味では、日本企業が円以外の通貨で発行する債券も外債です。また、外国の発行体(非居住者)が日本の投資家を対象に円建てで発行する『円建て外債(サムライ債)』というのもあります。
 外貨建てで発行される外債の特徴は、購入代金の払込みや利払い、償還金の支払いがすべて外貨で行なわれるということです。

 外債のうち、外国の国家や政府機関が発行・保証する債券は『ソブリン債』と呼ばれます。米国やドイツ、英国など、一般的には格付けの高い国の国債等を差すことが多いです。一方、一般企業や金融機関が発行する債券は『事業債(社債)』です。このほか、世界銀行や世界の公的な国際機関が発行する『国際機関債』という債券もあります」(久保田さん、以下同)

●外債の代表例
●外債の代表例

 外国の債券と聞くと、一見取っつきにくく感じるかもしれません。しかし、証券会社のホームページで検索してみると、ウォルトディズニーやアマゾン、スターバックスなど、私たちにもなじみのある企業が発行する外債もあります。

外債のポイント、魅力とは

では外債にはどのような利点があるのでしょうか。ここでは3つのポイントに注目して見ていきましょう。

1)利回りが高い
 魅力は何といっても日本に比べて、利回りが良いという点。例えば、国家が発行するソブリン債を見てみると、「10年債の日本国債は0.1、-0.045%ですが、米国債は2.654%です。ドイツの国債は0.092%と低めですが、それでも日本国債よりは高いですね。ちなみに、ソブリン債は世界中のすべての国で発行されているわけではなく、米国、ドイツ、英国あたりがメジャーです」と久保田さん。

●10年債の利回りの例
●10年債の利回りの例

2)為替差益が期待できる
 為替が円安に動いた場合、為替差益が得られるのもメリット。もちろん、円高に動いた場合は為替差損が発生する場合もあるので注意が必要です。

 米ドル債を1万ドル購入した場合(税引き前)
 利率:年3.0%、期間:10年、購入時為替:1ドル=100円、売却時為替 1ドル=110円

●為替差益のイメージ
●為替差益のイメージ

 購入時より売却時の為替が円安になると、その分日本円で換算すると利益が得られます。一方で円高になると損になりますが、何円まで円高に振れたら損が出るのかを想定しておくことが大切です。

 今後円高になるか、円安になるかは気になるところですが、「残念ながら予測はできません。為替の先行きを見通すことは極めて難しい。ただし現状で一つ言えるのは、日米の金利差です。すでに今は約2.7%の金利差があります。日本では、マイナス金利と言われているように超低金利。米国は利上げに慎重になるとニュースなどではささやかれていますが、日本が超低金利である限りは、この金利差は埋まらないのではという見方ができます」と久保田さん。
 ただし、リーマン・ショックやギリシャ・ショックのように、突然経済に大きな変化が押し寄せたら、円高に進む可能性も十分にあります。そのようなリスクを予言することは不可能なので、1ドルが何円まで円高になったら損が出るのか、あらかじめシミュレーションしておくと良いでしょう。

3)分散投資ができる
 外債に投資する魅力として、「分散投資ができる」点が挙げられます。「特に、保有している資産が日本のものだけという方は、外国の資産にも分散しておくことが大切です。外債を持つことは、資産と通貨を分散することにもつながります」