『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』の著書などで有名な産婦人科医の宋美玄先生。自身も長男・長女の2人の子どもの母として、妊娠・出産を経験し、日々子育てに悩むこともあるという宋先生が、医師として、母として、産後の様々な悩みを持つママやパパの気持ちに寄り添ってお話しする連載です。第3回では、産婦の3人に1人がなるといわれる「産後うつ」における、夫の役割について伺います。

産後うつ 回復の鍵は“夫の協力”

 産後のお母さんにとって、私が一番大事だと思うのは、「毎日様子を見る人」です。家事をしたり、子育てをしたりしながら、話を聞いたり変化を見たりする人が必要です。何でもそうですが、“人の温かみ”って心に染みますよね。

 やはり「赤ちゃんとお母さんがちゃんとやれてるかな、大丈夫かな?」と、見てくれている人が近くにいることは何よりの安心につながります。もちろん本来は父親がその役割を果たすべきなのでしょうが、既に産後うつの状況にある家では、既に夫が手助けとして機能していないことが多いのです。

 夫が子育てを放棄するまでいかなくても、妻がうつ状態になったことにより、自分までパニックになってしまっていたり、中には逆になぜか他人事のように振る舞うような夫もいたりします。家族としての役割や責任を放棄して、「うちの妻、なんか産後うつっぽいんだよね~」と飲み会の笑いのタネにしているような夫も、残念ながらいるようです。「家に帰ると妻がイライラしていて、僕、困っちゃってさ~」みたいなことを言いながら、夜遅くまで飲んでいる夫が、一番困りますよね。

 もちろん産後うつになるのは夫の責任だけではありませんが、回復できるかどうかは夫の役割がとても大きいのです。重要なのは、産後うつになった後にどうサポートしていくか。その治療を決めるときに、鍵となる役割を担うのが、夫なのです。

 一番身近な妻の大きな変化に夫もうろたえてしまうでしょうが、妻の症状や変化に気づいてあげられるのも、夫です。どうか、他人事と思わずによく妻の話を聞き、心配な症状があったら一緒に病院に行ったり、家事や育児の負担を軽減するために外のサポートを得たりするなど、この時期にきちんと妻に寄り添ってください。

「多くの場合、妻の症状や変化に気づいてあげられるのは、夫です」(宋美玄先生)
「多くの場合、妻の症状や変化に気づいてあげられるのは、夫です」(宋美玄先生)