2018年2月実施の「共働き家庭の家計(レジャー費、住宅ローン、教育費等)についてのアンケート」(DUAL特集「気になる! 隣のデュアルの家計事情」)によると、回答者(80.7%が正社員)の31.9%が「本業以外の収入がある」と回答し、その内訳として24.5%が「副業等による収入」という項目を選択していました。生活費や教育費など、出費のかさむ子育て中・共働き世帯にとり、“副業”は意外と身近な存在のようです。さて、この副業は、法的に問題がないものなのか? 2017年10月に厚生労働省が立ち上げた「柔軟な働き方に関する検討会」の委員でもある、専門の弁護士、荒井太一さんに詳しく伺いました。上・中・下の3本を掲載します。

(上) 弁護士が解説「副業は違法ではありません」
(中) 副業を始めたい!本業の勤務先に伝えたほうがいい?
(下) 副業 皆があると信じている“檻”は幻に過ぎない ←今回はココ

副業は禁止されるべきものではなかったので、解禁も何もない

「そもそも、副業は禁止されるべきものではなかったので、解禁も何もないのです」(弁護士の荒井太一さん)
「そもそも、副業は禁止されるべきものではなかったので、解禁も何もないのです」(弁護士の荒井太一さん)

日経DUAL編集部(以下、――) 今は、企業に勤めていても、昔のようには給与がなかなか上がらないため、それを補填する意味で副業が促進され始めているという議論もあると思うのですが、そこに関して、荒井さんは特に言及されませんでしたね。

荒井太一さん(以下、荒井) 政策サイドとしてそれは意識していません。そういう議論が出たことはないです。邪推ではないでしょうか? 何事も裏を読み解きたくなる人はいますから。

 そもそも、副業は禁止されるべきものではなかったので、解禁も何もないのです。目に見えない“檻(おり)”がそこにあると皆が信じ込んでいるのですが、実際には何もないので、「檻はないですよ」と言っているだけなのです。

―― でも、「大丈夫、檻はないよ」と言われてもなかなか飛び出せる人はいませんよね。

荒井 そうなんですよね。皆、色々なことを心配するのだと思います。でも、実際には飛び越える人は増えていると思います。フリーランスで働く方も増えています。統計をどこまで信じるか、という話でもありますが。先駆者は何も語らず、一足先に飛び越えていますよ。

―― 「一つの企業にどっぷり勤める」のもあり、「一つの本業を持ちつつ、副業をする」のもあり、「フリーランスとして様々な人や企業と仕事をする」のもあり、ということなのですね。

荒井 繰り返しになりますが、ポートフォリオの考え方です。「お金」との付き合い方も人それぞれですよね。自分は心配だからお金をすべて預貯金している、という人もいれば、資産の20%ぐらいを株に投資して、あと少し外貨でもやるか、という人もいる。それと同じ感覚ではないでしょうか。

 数年前の日本と比較したら、副業もかなり広まってきていると思います。先日、新生銀行さんが副業を解禁するとの報道がありましたが、銀行のような「堅い」と思われていた業態が副業を解禁したのは新しい流れです。これから人の獲得競争になっていくので、なるべく快適に働ける環境を整えていかないと、人は入ってこない。放っておいても人が入ってくると信じているような企業は別ですが、いい人材を獲得することに積極的な企業であればあるほど、そういった施策を打ち出してくると思います。

「大丈夫、檻はないよ」と言われてもなかなか飛び出せる人はいない(画像はイメージです)
「大丈夫、檻はないよ」と言われてもなかなか飛び出せる人はいない(画像はイメージです)

次ページから読める内容

  • 副業促進は、硬直的すぎる日本の雇用慣行に風穴を開ける策
  • 日本は副業に関して、独自のモデルを模索している
  • 健康管理、財務管理も含めて自己責任に

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