2018年2月実施の「共働き家庭の家計(レジャー費、住宅ローン、教育費等)についてのアンケート」(DUAL特集「気になる! 隣のデュアルの家計事情」)によると、回答者(80.7%が正社員)の31.9%が「本業以外の収入がある」と回答し、その内訳として24.5%が「副業等による収入」という項目を選択していました。生活費や教育費など、出費のかさむ子育て中・共働き世帯にとり、“副業”は意外と身近な存在のようです。さて、この副業は、法的に問題がないものなのか? 専門の弁護士に詳しく伺いました。上・中・下の3本を掲載します。

「人を資産とする会社」は副業を強く促進する傾向がある

「新しいサービスや最先端の情報をキャッチすることが新しい価値を生み出すことにつながるような仕事を本業としている方は副業をやりやすいでしょう」(弁護士の荒井太一さん)
「新しいサービスや最先端の情報をキャッチすることが新しい価値を生み出すことにつながるような仕事を本業としている方は副業をやりやすいでしょう」(弁護士の荒井太一さん)

―― 「国レベルでは副業の促進が行われていく」ということですが、さて、実態はどうなのでしょう? さほど変化していないような気もします。

荒井 そうですね、これは急に変わるものではないと思っていますが、実際、いくつかの先進企業が取り組みを始めています。有名な例でいうと、サイボウズさんやロート製薬さんの取り組みがあります。

 また、政府の報告書が出されたということも受けて、今、副業解禁を検討し始めた企業が一定程度いらっしゃいます。現にそういった企業からのご相談も多く、特に人材の確保について非常に悩まれている企業や、人のアイデアで価値を生み出すことに重きをおいているような企業はそういったことを非常に重視されている印象です。

―― 例えば、メディア企業などは可能なのでしょうか?

荒井 メディア企業はあり得るでしょうね。人を資産とする会社という意味では、典型ではないでしょうか。

―― ただ、副業することで、ライバル会社に加担するようなことにもなりやすいような気もします。

荒井 そうですね。競業で働くことは難しいでしょうね。でも、例えば、全く異なる業態の会社を起業してしまうとかいうことは可能だと思います。例えばの話ですが、DUAL編集部のメンバーが副業で保育園の事業を立ち上げるとすれば、働くママ・パパの実態を踏まえて説得力のある情報発信が可能になりますから、両方の仕事に生かすことができると思います。このように、新しいサービスや最先端の情報をキャッチすることが新しい価値を生み出すことにつながるような仕事を本業としている方は副業をやりやすいでしょうね。

―― なるほど、例えば副業として飲食業に携わることで、そこにいらっしゃるお客様から情報をもらって本業に生かす、とかもあり得ますね。とすると、どんな仕事でも掛け算ができそうな気がしてきます。

荒井 そうです。掛け算の仕方の問題ですよね。