「赤ちゃんと遊ぶのは、女の人のやることだよ」と友だちから言われた息子

 皆さん、こんにちは、治部れんげです。今月から新しい連載が始まります。

 テーマは「小学生の息子とジェンダーについて話し合う」こと。

 ジェンダーとは「社会的性差」と説明されます。男女の違いについて、生物的なものではなく、社会的に決められているものを意味します。「社会的に」という部分がポイントで、それは私たちの日常生活に浸透していて、違和感を覚えないこともあります。

 ただし、人が「男だから」とか「女だから」という枠に縛られず、自分が心から好きなことをしようとするとき、ジェンダーに基づく偏見が邪魔をします。それは、例えばこんな具合です。

 わが家の息子は小学4年生です。放課後は友だちとサッカーやドッジボールをして遊び、玩具はベイブレードやトランスフォーマーが好きです。このように書くと「元気で男の子らしい」と思われるかもしれません。

 ただ、彼の中には伝統的には「女らしい」とされてきた性質もあります。それは、小さい子をあやすのが得意で好きなこと。お友だちの小さな弟や妹を見つけると、目線を合わせてしゃがみ、手遊びをしたり、少し大げさに話しかけたりして上手に遊びます。遊びながらも、小さな子が転んだり池に落ちたりしないよう、さりげなく手を添えサポートします。

 保護者の方からは「本当に助かる」「いつも遊んでくれてありがとう」と言われます。

 ところがあるとき、クラスメートの小さな妹さんをあやしていた息子に、お友だちがこう言ったそうです。

 「赤ちゃんと遊ぶのは、女の人のやることだよ」

 息子は全く動じず「誰が決めたの?」と答えました。背景には「赤ちゃんをあやすのは女性の仕事という決めつけはヘン」という批判精神があります。反論したら、お友だちはそれ以上何も言わなかった、ということでした。

 こんな具合に普段から、親子でよくジェンダーについて話をしています。本連載では、私が息子とジェンダーについて話したエピソードを軸に、この社会に根強くある「男らしさ、女らしさという決めつけ」や「そういうものから自由になること」について、書いていきたいと思います。

 ぜひ、ご家庭でご自身のお子さんと、また親戚やお友だちのお子さんとジェンダーについて話をしてみてください。テーマはたくさん見つかると思います。

 第1回で取り上げたいのは「東京消防庁」の「消防少年団」ポスターです。