「女は弱い」って決めつけちゃったら、女の夢がしぼんじゃう

 そのポスターはバスに乗っているとき、バスの中でよく見かけます。あるとき、息子が「ほら、また女が後ろにいて、男が前にいる」と言いました。見ると、男女の子どもがホースを持っているのですが、男の子が前、女の子が後ろにいます。

 「なるほど……」と相づちを打つと、息子いわく「でも、前はもっとよくなかったよ。だって、男がホースを持って、女が後ろで『は~い!』って感じに救急箱を持っていたからね」

 息子の違和感は「男が前、女が後に続くもの」というイラストの構図や「男が力仕事をして、女がケアをする」という、やや硬い表現をすれば性別役割分担の固定化に対するものでした。

 私は息子の意見に賛成でしたが、あえて反対意見を唱えてみました。「ママは賛成なんだけど、こういう人もいるかも。『実際、男女で力の差があったり、火を消す消防士さんは男性が多かったりする』って言われたらどうする?」と。

 それに対する息子の反論はこういうものでした。

 「確かに、男のほうが女より力が強い人が多いかもしれないけれど、女にも、男より力が強い人もいるし、女の中にも、ホースを持って『やるぞ!』って火を消したい人がいるかもしれないじゃん。『女は弱い』って決めつけちゃったら、女の夢がしぼんじゃうでしょう

 これは、親ばかながら「いいこと言うなあ」と思いました。私は大学生のとき、就職活動で、オフィスで制服を着た女性が男性のサポートをしている企業の案内ビデオを見て、とても気分が暗くなりました。私が就活をした20年前は、実力や適性より性別で仕事内容が決まっている企業が多く、「女性は事務職、男性は企画や営業」と人事から言われたこともありました。このように「女だから●●すべき」と決められると、気分が沈みます。