同法人理事長の赤石千衣子さんは「米飯を雑炊にしたり3食を2食に減らしたりして、給食のない3月の食費増加を抑える家庭がかなり存在する。感染拡大の長期化も予想される中、こうした家庭が4月、5月を乗り切れるだろうか。状況はかなり危機的だ」と話す。

 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(東京・中央)代表理事の平田麻莉さんも「フリーランスの中には一定数、シングルで小さな子どもを抱え、やむなく組織に所属せず働くことを選んだ人がいる。彼らは大打撃を受けており、生活も困窮しかねない」と指摘する。同協会が3月3日に実施したアンケート調査でも、「公共施設の閉鎖に伴い、担当レッスンがすべてキャンセルされた」(フィットネスインストラクター)といった、ひとり親の悲鳴が相次いだ。

 政府は新型コロナウイルスに関する臨時対策として、保護者が臨時休校を理由に仕事を休んだ場合、日額8330円の助成金(フリーランスは日額4100円)を支給するとしている。また家計が苦しくなった家庭などを対象に、現金給付を実施する方針も打ち出した。赤石さんは「ひとり親家庭を対象とした、児童扶養手当の増額なども検討してもらいたいが、ひとり親に特化した対策だけでは、社会的な分断を引き起こす懸念もある。児童扶養手当の増額に加えて、(新型コロナ対策の)現金給付が実現すれば、力強い支援になるだろう」と期待する。

どんな書類が必要? 求められるのは

 新型コロナ対策では、休業や失職、減収などで生計維持が難しくなった人に対して、無利子・保証人なしの貸付制度なども整えられている。

 ただ、エステサロン経営の中野さんは「私たちは情報弱者なんです」と言う。

 「制度があってもどこに相談すればいいのか、どんな書類が必要なのか分かりづらいし、申請書などにも難解な『お役所言葉』が並んでいます。不正を防ぐための審査にも時間が掛かるでしょうし、今月末に引き落とされる、目先の家賃をどう工面すればいいのか……」

 平田さんは「制度申請の手続き書類なども、行政の用語を使った分かりづらい資料が多い。民間団体を活用するなどしていい意味での素人目線を取り入れ、分かりやすさを追求する必要がある」と強調した。

取材・文/有馬知子 イメージカット/PIXTA