最も不安なのが「自粛ムードに終わりが見えず、先々の収入回復が見通せないこと」。ただ離婚後、仕事を増やしたため子どもと接する時間が減っていたが、「臨時休校で一緒に過ごす時間が増え、会話も多くなったのが、せめてもの救いかな」と話した。

来店客ゼロの週も

 「子どもと自分の2人分の食費すら困っている状態です。スーパーに行って子どもから100円のチョコレート菓子をねだられても『今日は我慢して』と言わなければならない自分が情けない」

 前橋市の中野裕子さん(仮名、54)は、小1の孫と暮らす「祖母子家庭」だ。エステサロンを経営しているが、2月下旬から3月末までの収入は、数万円にとどまった。

 例年3月は、卒業式や各種イベント、海外旅行後のスキンケアなどで来店客が増え、普段の倍以上の収入を見込めるという。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で、増収どころか1週間、来店客のない時期すらあった。

 一方で家賃や電気・ガスなどの光熱費は発生する。さらに「職業上、たとえネットで一箱5000円であっても、マスクは買わざるを得ない。店の消毒に使う次亜塩素酸水も高価で、仕入れ額はいつもの何倍もかかっている」と嘆く。

 中野さん自身がシングルマザーとして、娘を育てながら20年間、サロンを経営してきた。現在は離婚した娘の子どもを預かっている。高齢でがんを患う母親や、子どもと離れて懸命にパートに励む娘に不安を与えたくないと、誰にも相談できずにいる。

 中野さんは「自粛ムードはいつ収束するのか、常連客が戻るまで店の資金繰りを維持できるか、不安しかない。この1~2カ月でいいから、生活費をサポートしてほしい」と訴えた。

1日2食に減らして食費抑える

 厚生労働省の2016年度の調査によると、母子家庭の母親の平均年収は200万円。同居家族の収入なども含めた世帯年収の平均額は348万円で、全国平均の約半分ほどだ。

 シングルマザーの就労支援や相談事業にあたるNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京・千代田)が3月2~5日、新型コロナウイルスに伴う影響を調査した結果、回答者232人のうち43%が「収入が減る」、5%が「収入がなくなる」と答えた。