毎日、小さな手紙を筆箱に

 そして、上の子が入学してしばらく日々心がけていた小さなこと。

 それは毎朝、筆箱の中に小さなメモ用紙に書いた手紙を入れることでした。手紙の内容は大したことありません。「きょうはあめだから、かえりみち、きをつけるんだよ」「きょうのきゅうしょくはみそラーメン。よかったね」など、ほんのひと言です。でも、そのひと言を朝書いて、本人に気づかれないよう、筆箱の中に忍ばせていました。

 4月はまだお友達もいなかったので、筆箱を開けたとき「学校でさみしくても、おうちに帰ればママがいるよ」という安心感を与えたくて始めたことでした。

 娘はそれについて「うれしい」とも「楽しみにしてる」とも言わずにいましたが、ある朝、手紙を入れるのを忘れてしまったんです。すると下校した途端、「何で今日、お手紙入れてくれなかったの!?」とご立腹。口には出さずとも、実は毎日楽しみにしていたんですね。

 このお手紙作戦は、夏休みの終わりまで続けました。

 夏休みは学童のお弁当に忍ばせて。でも、夏休みも終わりごろになると小学校という場所に完全になじんできたという実感を親としても得られたんですね。ですから、それを境に小さなお手紙作戦はおしまい。

 余談ですが、中学に入ったある日。このメモ手紙を、娘がきちんと箱に入れて取っておいてくれたことを初めて知り、ちょっとだけ泣きました

 決して焦らないでください。大人だって、新しい人間関係・新しい環境になじむまでには時間がかかります。ましてや子どもたちはまだ6歳。「夏休みの終わりくらいまでに順応していけばいいわ~」くらいの気持ちでいてあげてください

 皆さんの小学校生活が、楽しいものになりますように!

子どもにとっての壁を家庭で壊してあげたい
子どもにとっての壁を家庭で壊してあげたい

(写真/鈴木愛子)