読み書きだけに困難を示す障害、発達性読み書き障害(以下、発達性ディスレクシア)。その特徴については【前編】読み書きが難しい「発達性ディスレクシア」とは?で紹介しました。漫画家の千葉リョウコさんの長男・フユくんは小6、長女・ナツちゃんは中2で発達性ディスレクシアと診断されました。筑波大学元教授で発達性ディスレクシア研究会理事長の宇野彰さんは「どのように障害と付き合っていくかを考えることが大切」と話します。後編では読み書きのトレーニング法や周囲のサポートの仕方、将来の進路の選び方について紹介します。

ひらがな・カタカナを完璧に。漢字は小学3~4年生を目標

編集部(以下、――) 発達性ディスレクシアがあると判定された場合のトレーニング法について教えてください。

宇野さん(以下、敬称略) LD・Dyslexiaセンター(編集部注:宇野さんがセンター理事長をつとめるNPO)ではトレーニングをするかどうかは必ず本人の意思を確認します。いくら保護者が希望しても、本人のやる気がないと地道なトレーニングは続けられないためです。

千葉さん(以下、敬称略) わが家の場合、まじめな長男のフユは「今よりも漢字が書けるようになりたい」とすぐにトレーニングを始めましたが、楽観的でマイペースな長女のナツはトレーニングをしないことを選択しました。結局、ナツもひらがなとカタカナを完璧にするために少しの間だけ専門機関に通いましたが、同じきょうだいでも障害への向かい方が違うのだなと思いましたね。

―― 発達性ディスレクシアではどのくらいの読み書きの習得を目指していくのでしょうか。

宇野 学生のうちは黒板の文字をノートに写したり、テストの答案を書いたりと読み書きの場面が多いので大変ですが、大人になればパソコンやスマホを使ってカバーできますし、ひらがな・カタカナの読み書きができればそれらの入力はできるので何とかなるでしょう。とはいえ、手書きの場面もあるので、LD・Dyslexiaセンターでは小3~4くらいまでに習う漢字の習得を目指して指導しています。ただし、障害の程度は個人差があるので、全員が目標に到達できるとは限りません。

 「漢字が覚えられない」と相談に来るお子さんの中には、ひらがな・カタカナが完璧でない人もいます。カタカナは漢字の一部分であることも多いため、漢字練習の前段階として非常に重要です。まずはひらがな・カタカナを覚えることが先決です。

千葉 長男は小6~高3まで専門機関に通い、小3までに習う漢字を繰り返し学習しました。ひらがな・カタカナは最初の5カ月で完璧に習得できましたが、漢字は忘れているものもあります。わが家ではお弁当が必要な日を紙に書いて貼ることにしていますが、メモに「火・木・全」と書いてありました。「金」と間違えたんですね。普段何気なく使っている漢字でも、書けないものがあるんだなと改めて思いました。

宇野 フユくんの場合は小6の時点で書けないひらがな・カタカナがいくつかありましたが、どちらも5カ月でマスターして漢字の音読と書字に進めたので、かなり伸びましたね。LD・Dyslexiaセンターに通う子の多くは、ひらがなの「読み」「書き」に問題のある子です。さまざまな検査で弱い能力と強い能力を調べ、その子に合った方法で読み書きトレーニングをします。いくつかの条件を満たしてトレーニングをすれば、ひらがなとカタカナの読みはほとんどの子が完璧にできるようになります。

『「うちの子は字が書けないかも」と思ったら』(ポプラ社)62ページより
『「うちの子は字が書けないかも」と思ったら』(ポプラ社)62ページより

次ページから読める内容

  • 「花」の漢字はサ・イ・ヒと分解して音で覚えた
  • 弱い部分をバイパスさせれば障害をカバーすることは可能
  • 「テストの漢字にルビを振ってもらう」合理的配慮を求めることができる
  • 苦手な方向に進まないように「嫌いではないこと」から進路を考える

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