遊びながら自然とプログラミングが学べる

――ここにある「embot(エムボット)」は、身近な素材であるダンボールでロボットを組み立て、それを専用アプリからプログラミングを行うことで動かすことができる学習教材です。NTTドコモが企画開発し、タカラトミーが製造・販売しているものです。プログラミング教材として、いかがでしょうか?

NTTドコモが企画開発し、タカラトミーが製造・販売しているプログラミング教材「embot」。タブレットやスマートフォンの専用アプリでプログラムを作って、段ボールで作ったロボットを動かしたり、LEDライトをつけたり、ブザーを鳴らしたり、音楽を奏でたりすることができる
NTTドコモが企画開発し、タカラトミーが製造・販売しているプログラミング教材「embot」。タブレットやスマートフォンの専用アプリでプログラムを作って、段ボールで作ったロボットを動かしたり、LEDライトをつけたり、ブザーを鳴らしたり、音楽を奏でたりすることができる

中野 これはクマの形をしたロボットなんですね。かわいいですね! PCやタブレットの中だけでプログラミングを学ぶのではなく、入力したプログラムが実際にどう動くのか、ロボットというビジュアルでわかるのがとてもいいと思います。

 私も大学院生の時に、「embot」と似たような形式のプログラミングソフトを使って被験者に聴覚刺激を呈示する実験をしていたのですが、こんなにかわいいものが作れるんだったら、勉強するのがもっと楽しかったかなって(笑)。むしろ子どもの時にこんなロボットで学びたかったです。

――ロボットの中にコアとコアに接続したサーボモーターを組み込み、そこにBluetoothでプログラムを送るのですぐにロボットが動き出します。実際にアプリを使って動かしてみませんか?

中野 アプリの操作画面がシンプルでとてもわかりやすいですね。ボタンを押して、設定してみると……わあ、クマの手が動きましたね!

 自分で動かすことができた喜びで、子どもたちも「次はライトをつけてみたい」「音を鳴らしてみたい」と好奇心が刺激されて、どんどん学ぶ意欲が湧いてきそうです。


レベルは1~5段階まであり、プログラムの基本である「順次処理」「条件分岐処理」「反復処理」を一通り体験できるようになっている。アプリの操作画面は、いたってシンプル。レベル1では初めてプログラミングに触れる子どもでも操作しやすいように、ボタンやブロックだけで画面が構成されている。レベル2では、フローチャート画面でプログラムを作れる。レベル3では、タブレットやセンサーで取得した方角や気温などの数値をプログラムに利用できる
レベルは1~5段階まであり、プログラムの基本である「順次処理」「条件分岐処理」「反復処理」を一通り体験できるようになっている。アプリの操作画面は、いたってシンプル。レベル1では初めてプログラミングに触れる子どもでも操作しやすいように、ボタンやブロックだけで画面が構成されている。レベル2では、フローチャート画面でプログラムを作れる。レベル3では、タブレットやセンサーで取得した方角や気温などの数値をプログラムに利用できる

レベル2のプログラミング例
レベル2のプログラミング例

functionを開いたところ。レベル2では、functionをつなげて、より大きなプログラムを作れる
functionを開いたところ。レベル2では、functionをつなげて、より大きなプログラムを作れる

――レベル1ではプログラミングの基本の順次処理を習得するのがメインになりますが、レベル3になるとさらにできることが増えていきます。例えば、タブレットやスマホ、接続した別売りのセンサーを使ってさまざまな情報(照度、気温、気圧、方位、傾きなど)を取得して、「暗い所にロボットを置くとライトが光るようにする」など、取得した情報をプログラムに利用してロボットを動かすこともできるんです。

中野 なるほど。プログラミングが実際の生活にどう役立つのか、「実生活への応用」にもつなげているんですね。本当に学習者のことを考えた、よくできているプログラムだなと感心しきりです。

 ロボットにはあえてシンプルなダンボールの素材を使っているのも特徴ですね。子どもが自分の好きなように絵を描いたり、色を塗ったりできるところがたくさん与えられているのが魅力ですね。すでにでき上がった完成品ではなく、「ここにもっと何かできそうだ」という余地を残しているところが、子どものアイデアや創造力を引き出していると言えます。