子どもの頃から学べば心理的ハードルはなくなる

――プログラミング学習が人とのコミュニケーションにも活かせるとは驚きです。

中野 人とのコミュニケーションする手段が「言葉」であるように、機械とコミュニケーションする手段が「プログラミング」なんですね。

 プログラミングというと、一見難しくてハードルが高い印象があるかもしれませんが、機械に命令を打ち込んでプログラムを動かしていくのが基本なので、構造的にはとてもシンプル。瞬発力が求められ、なおかつ相手の反応も読みづらい人とのコミュニケーションに比べたら、もっと簡単で楽なもののはずなんです。

――なるほど。一見とっつきにくいプログラミングへのイメージが変わりますね。プログラミングを学ぶメリットがたくさんあることがわかりましたが、そうなるとなるべく早いうちから学んでおいたほうがよいでしょうか?

中野 語学のようにあまり早いうちから学ばせても逆に混乱することがありますので、子どもの発達段階に合わせて本人が興味を持ち始めたらやらせてあげる、というのがいいでしょう。早くできるようになることがいいこととは限りませんからね。

 ただ、小学生ぐらいの年代からプログラミングに慣れ親しんでおくことは、そのものに対する「心理的なハードル」が下がるのは確かです。例えば、将来仕事でプログラミングやシステム関係の業務が必要になった時、息をするようにスムーズにできるのか、それとも毎回悪戦苦闘しながら取り組むのかでは、仕事のスピードや成果物の質が変わってきます。

 後者の場合は、キャリアの選択肢の幅も限られてしまいますので、子どもの頃からプログラミングに慣れ親しむ環境を作り、心理的なハードルをなくしてあげることは、親が子どもに贈ってあげられる一生もののプレゼントになると思っています。