ねぇ、ママは何歳まで生きられるの?

 昨年のはじめ、寝しな彩楓さんが由紀さんにこう切り出した。「ねぇ、ママは何歳まで生きられるの?」。由紀さんが気持ちを整えてから、「私にも分からないけど、できるだけ長く生きられるように治療をがんばるから、これからも応援よろしくね」と返すと、彩楓さんはこう言ったそうだ。

 「誰でもいつかは死ぬし、ママは他の人より少し早いかもしれないのは分かってる。でも、ママには1日でも長く生きてほしいんだ」。――ずっと長生きするから大丈夫よ、といった嘘をつく必要なく、母も娘も命について、きっと人よりたくさん考え、事実を受け止めて言葉を交わすことができている。このことを、由紀さんはうれしく思ったという。

辛ければ泣いて不安なら叫ぶ。私の夢も追いかける

彩楓さん 私だっていつも平気なわけではありません。辛ければ我慢しないで泣くし、叫びたければ叫んだ方が、ストレスがたまらなくていいと思うのでそうしています。今はもう、不安な気持ちを母にも話すこともできるのですごく助かっています。

 もちろん、母・由紀さんはずっと変わることなく彩楓さんのサポーターだ。

彩楓さん 私がすることは父と母がいつも応援してくれます。興味があるのは絵を描くこととモノを作ることで、中学の部活も絵画系です。最近はパソコンでもイラストを描いています。アニメもゲームも好きなので、いつかゲームも作ってみたいです。

 子どもへの親のがんの告知にも、がん教育の方法にも、唯一無二の正解はないのだろう。けれど愛情や思いやりが伴えば、惜しみなく時間や気持ちを割いて、自分たちなりの正解を見つけることはできるのだろう。彩楓さんの2年間の行動の温かさに、教えられた気がする。

(取材・文/太田留奈 作品・写真提供/笠島家 イラスト/二階堂ちはる)

 ■■■ ことば解説 ■■■

*「クライム(CLIMB)」:米国で広く行われてきた、がんの親とその子どもの心のサポートプログラム。国内では有志(医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、医師など)による任意団体Hope Treeが、厚労科研チャイルドサポート研究班に協力するかたちで運営、各地でワークショップなどを開いている

*「緩和ケア」:患者さんとその家族の、がんに伴う心身の痛み、辛さを予防したり和らげたりすることで、QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を改善するアプローチのこと

*「どあらっこ」:愛知県で活動をするがん哲学外来メディカルカフェ。2017年に3人の中学生が立ち上げた。参加条件は20歳以下であること。本人や親ががんに罹患した小中高校生らが正確な知識を学び、和気あいあいと話し合う貴重な場となっている。18年には「日本対がん協会賞(団体部門)」受賞

*「ピアサポート」:同じ立場にいる人が心に寄り添ってするケア。専門家によるケアと並行して行われるもので、がんの場合は、がん罹患者やがんサバイバーがケアにあたる

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