今日のテーマは、「振り子が一往復する時間の要因を予想する」。

 子どもたちは3~5人のグループになって着席。各グループに1台ずつ、振り子の糸の長さや、おもりの数を変えることが可能な実験装置が置かれている。まずは、音楽のテンポに合わせて振り子を揺らすことができるか、みんなで実験する。音楽を流すのはNAOの役目。幸阪先生に促され、子どもたちはNAOの顔のすぐ前まで近づき、リクエスト曲を伝える。一人の子どもが「宇宙戦艦ヤマト」と言うと、NAOは「そんな気分じゃない」。最終的にはNAOが「星野源が大好きでして、『ドラえもん』はどうでしょう」と提案した。

クラスの子どもの事情にも詳しいNAOにみんな驚く

 先生が「音楽を流してください」とNAOにお願いすると、曲が流れ始めた。子どもたちは、曲がかかっている間、糸の長さやおもりの数を変えるなど試行錯誤しながら、振り子の揺れる動きが曲のテンポに合うように調整する。

 次にNAOが「今度はノリノリの『U.S.A』はどうでしょう」と提案。「〇〇さんや〇〇さんはアメリカが懐かしくなるかもしれませんね」と名前を挙げて付け加えた。子どもたちについて詳しく知っているNAOに、みんな驚く

子どもたちは、曲がかかっている間、糸の長さやおもりの数を変えるなど試行錯誤しながら、振り子の揺れる動きが曲のテンポに合うように調整する
子どもたちは、曲がかかっている間、糸の長さやおもりの数を変えるなど試行錯誤しながら、振り子の揺れる動きが曲のテンポに合うように調整する

 幸阪先生の提案で、最初の30秒はみんなで音楽を聴き、足でリズムを取ったり、体を揺らしたりして、曲のテンポをつかんでから実験。

 「曲のテンポに振り子の動きを合わせるためにはどうすればいい?」。幸阪先生は子どもたちに問いかけ、机の間を歩きながら、みんなが自分の考えを書き出しているノートをのぞき込み、「他にもあるかな?」などとアドバイスして回る。

音声認識してもらうために、言い方を工夫する必要がある
音声認識してもらうために、言い方を工夫する必要がある

 次は、各自で導き出した答えを、子どもたちが“NAO先生”に伝えにいく。顔の正面に立って、ゆっくりはっきりと話す必要がある。一人が「糸の長さ」と伝えると、なかなか認識してくれない。認識された言葉は、教室前方につるされたプロジェクターに映し出されるが、出た文字は「猫の長さ」。教室内に大きな笑いが起きた。今度は、別の子どもが「おもりの数」と伝えると、今度は「お守りの数」「氷の数」「森の数」などと読み取られてしまった。

 今日の授業はここまで。幸阪先生が「振り子の一往復の時間が何によって変わるのだろうか」という次回の授業のテーマを発表、子どもたちはノートに書き留めた。

 最後に、子どもたちは、初めてのAIロボット授業への感想を発表した。ある女子は「NAOは賢いし、面白いロボット。大人になる頃どれくらい進化してどんなふうに役立つのか楽しみ」といい、別の男子は「将来もっといいロボットを自分で作りたい」とも。

「NAOはいろいろしたけど、JACOⅡの出番が少なくてかわいそうだった」
「幸阪先生とNAOは仲がいいのか、仲がよくないのかよく分からなかった」

 自由闊達に意見が飛び交う。「本音を引き出すことが大事です」という伊勢校長は教室の片隅で、先生と子どもたちとのやり取りを聞いて、ほほ笑んでいた。

ロボット先生がいい? 生身の先生がいい?

 幸阪先生がこんなことを聞いた。「(1)NAOみたいなロボット先生がいい、(2)生身の先生がいい、(3)両方がいい、から選んで手を挙げて」