新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休校。仕事との両立はもとより、これまで経験したことのない「子どもだけでの留守番」「普段よりも長い親子の時間」に、戸惑っている親は少なくありません。子どもたちの本音を引き出し、不安な心をケアしながら、家族全員が快適に過ごすにはどうすればいいのでしょうか。教育ライターとして多くの家族会議を取材し、ファシリテーターとして家族会議をサポートすることもある玉居子泰子さんに、一斉休校の期間中を快適に過ごすための「家族会議の進め方」について教えてもらいました。

緊急会議招集! 子どもたちの本音は

 わが家では数年前から「家族会議」という名の、家族で対話する時間をつくっています。困ったことがあるときや、決めるべきことがあるとき、家族がモヤモヤしているな、と思うときなど、不定期に「会議しようか」と声を掛け、子どもたちと一緒にあれこれを話し合っています。

 今回、新型コロナウイルス対策で学校が一斉休校になり、小学生二人を持つわが家もひとごとではありませんでした。いつ収束するとも知れないこの状況を、家族でどう乗り越えていくか……。こんなときこそ、いったん立ち止まってみようと、わが家は「家族会議」を行いました。家族の本音を引き出し、自分たちなりの過ごし方を決めるまでの様子を、時系列でご紹介します。

【2月28日(金)】

画像はイメージ
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午後2時

 政府が全国の小中高校などに休校要請を行った翌日。恐れていた事態が現実になってしまいました。子どもたちが通う小学校からの一斉メールで、週明けの月曜日、3月2日から春休みまでの休校が確定しました。確かに国内感染者が増えていて感染しないという保証はどこにもない、と感じてはいましたが、まさか本当に長期休校になるなんて……!

 最初に頭をよぎったのは、「仕事をどうすればいいんだ」ということ。私自身はフリーランスなので比較的自由に動けますが、企業に勤める共働き夫婦はどう対応するのだろう。学童保育は利用できるの? テレビ&ゲーム漬けにならない?などと疑問と不安ばかりが募ります。

 ネットを見てみると、休校中の子どもたちに向けて、早速無料のオンライン学習を提供している団体や企業があり、「そうか、この際、何かの学習サービスを使って有意義に過ごさせてあげるといいのかも」という考えが頭をよぎり……。そのときは、不安だからこそ「子どものスケジュールや時間割をある程度、きちんと決めたほうがいいのかも」と思いました。

午後4時 子どもたち帰宅

 大量の荷物を抱えて帰宅した子どもたち(小4長男、小2長女)。その様子を見て、私は「子どもに家庭学習をちゃんとやらせなきゃ」という考えが変わります。

息子 「全部の荷物を持って帰れっていきなり言われたんだよ」
  「もうずっと学校行かないんだってー」
息子 「4年生終わっちゃったよ……」

 次々に口にする子どもたち。「お別れ会とかしたの?」と聞くと、「そんな暇なかった。先生忙しそうだったし」とのこと。でも、息子は先生たちが会議で教室を離れたときに、近くの友達と「名刺交換」をしたんだ、とうれしそうに紙切れを見せてくれました。

 「◎◎くん、楽しかったよ」「ドッジボールまたやろうな」「5年生までさらば!」そんなふうに一言メッセージが詰まっていて、読みながら息子がちょっと顔をしかめて言いました。

息子 「寂しい……」

 それを聞いて、私は、「あ、家族会議しよう!」と思いました。リビングのホワイトボードに「いきなり休校!」と書き、まずは、「休校になった今の気持ちは? 100%でいうとどれくらいうれしくて悲しい?」と聞いてみることに。