やる気や興味を持たせるような仕組みづくりが大切

――子どもの自主性ややる気を育てるためには「○○しなさい」と言わない方がいいと聞きますが、ついつい言ってしまいます。

ぬまっち でも、何も言わないと何もやらない子どもはたくさんいます。僕は言わなきゃいけないと思っているし、毎日言っていると「先生怖い」と怒られる(笑)。子どもたちはやる気になったらすごいけれど、全員ではない。大体のうちの“だい”くらいしかやる気にならないので、“たい”はこちらでやる気にするしかないんです。

 大人になると、お金を払ってカルチャースクールで勉強します。お茶の勉強をしている人に、2時間目はそろばんをやります、といったら半分やめると思います。でも、それが小学校。小学校はすべての科目をやるので、何か好きなことだけをしていていいよ、ではない。そういう意味でものすごく大変なんです。

 そのためには、全員に一回興味を持たせるような仕組みづくりをしなければいけない。作文で「今日は楽しいことを何書いてもいいよ」と言っても、書かない子もいます。それは、書きたくないから。だとしたら、書きたい状況を作り出さないといけません

 そもそも何で書くかといったら、誰かによっぽど伝えたいか、無理やり書かされるか、書くことが生活の糧になるか。子どもたちにギャラは出ないから、書きたい状況を作るしかない、面白い状況を作るしかない。それで生まれたのが「ドラマチックカップラーメン」。カップラーメンの作り方をラブストーリー風に書け、というものです。そうするとみんな、面白いので書こうと、やり始めます。

 うちのクラスには新聞社が6社あります。「新聞は毎日出してなんぼだよ」と子どもたちに話をしたら、クラスで毎日新聞を発行しています、毎日1社が新聞を発行するので、6日に1回回ってきます。

 新聞記事を書きましょうと言っても、書くことがなければ、みんなやりたがらない。そこで、僕が何をしたかというと、記者会見を開いたんです。本物の記者会見のように、挙手をして当てたら、新聞社名と名前を言ってから僕に質問をする。それをメモして新聞記事にしてもらいます。例えば僕が出張に行ったあとに記者会見を開いて「どんなことをしたんですか?」「新幹線では寝ましたか?」「出張は楽しかったですか?」「このお土産を選んだ理由は?」などの質問に答え、彼らが記事にしています。

 新聞は、SNSで親にも見てもらえる仕組みになっています。親も楽しみにしているから、子どもたちも頑張るんです。さらに、うちのクラスでは毎日みんな日記を書いています。それに対して、ほんの1行程度、コメントを書いて返します。面白かったら、面白いね!と書いてシールを貼ることもあります。それだけで、子どもは嬉しいんです。

 子どもにやらせておいて、やらせっぱなしになっていることはないですか?子どもが頑張ったことに対して、親も一つ一つ認めてあげないといけないと思います。

子どもたちが毎日発行している新聞。各自が書いた記事を切り貼りして1枚の新聞にしているので、効率がいい。クラスには出版社もある
子どもたちが毎日発行している新聞。各自が書いた記事を切り貼りして1枚の新聞にしているので、効率がいい。クラスには出版社もある