ワークショップで見えてきた、今やるべきこととは

 ロールプレイを通じて、「推奨で人を動かすことの難しさ」を実感した参加者の皆さんに、ファシリテーターの齋藤さんが解説したのが「ナッジ」です。

「ナッジとは、人間の意思決定のバイアスを理解して、より良い意思決定を支援する方法。つまり、無理強いするのではなく共感を呼ぶ、楽しい推奨ということです」(齋藤さん)

 そして、ナッジの具体例として、齋藤さんは次のような事例を紹介しました。

●避難所開所訓練と食品安全衛生の理解促進ために、PTAと町会合同で餅つき大会(2017年12月開催)
●健康診断未受診者への推奨のために、全国地酒試飲会で不健康自慢。接客は保健師や医師が担当(2019年3月開催)
●孤育て予防と多世代交流のために、浴衣の着つけ体験と流しそうめん(2016年9月開催)
●孤立、運動不足、感染拡大地域への差別解消のために、新宿サイバー町会でオンライン方言ラジオ体操(2020年8月開催)

 これらの話を受け、参加者の皆さんが次に行ったのは「抗体検査推奨アイデア会議」。風しんの抗体検査とワクチン接種のクーポン利用が進んでいない現状を踏まえ、どうしたら、家族、社員、周りの人に心地よい推奨ができるか、自由かつ大胆な発想で考えました。

1人ずつアイデアを記入し、記入した用紙を他の人が採点。点数の合計が高かったアイデアが採用されました
1人ずつアイデアを記入し、記入した用紙を他の人が採点。点数の合計が高かったアイデアが採用されました

 参加者同士で意見をシェアしながらアイデアをまとめていった結果、「これならできる!これからやりたい!これこそやるべき!」という、日本交通赤羽営業所の「風しん対策アクション宣言」は以下の2つに決定しました。

「健康診断の採血で抗体検査!」
「信頼できるリーダーからの声掛けで全員抗体検査&接種!」

 風しんの感染拡大を防ぐためには、職場での対策は重要です。このワークショップを参考に、ぜひ皆さんの会社でもアクションプランを考え、働くパパ世代を中心としたすべての人々の意識改革を図ってみてください。

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取材・文/鈴木友紀 写真/新山貴一