シンガポール赴任で英語漬け 会話の構成も重要
下村 グローバルコミュニケーションスキルは、日本語でも英語でも、説明のときに用いる会話の構成です。最初は大きなピクチャーから入って、次は指導。例えば、「あなたのここはスペシフィックにいいけれど、この部分はまだオポチュニティがあるからもう少し伸ばしたほうがいい」、など、フィードバックの方法がトレーニングになります。
── なるほど、最初は全体のいいところを伝え、リクエストのあるところはその次に伝えるということですね。下村さんは英会話のレッスンは行っていないんでしょうか?
下村 そうですね。シンガポールに赴任することになったので、そこでは日本語を話す機会もありませんでしたし。OJTで学んだという感じなので英語力は今でもまだまだです。
── おふたりとも最初から英語ができたわけではない、それでも採用したいと思われるタレントがあったということですね。語学に自信がない方には非常に勇気になるお話しです。
多様性のあるメンバーをまとめるには?
── せっかくなので質問のある方、いかがでしょう?
質問者 私は発達障害があるのですが、ダイバーシティ採用で明日から外資系企業でニュースの翻訳者として働きます。こうしたメンバーがいたとき、どういったマネジメントをしていかれるのでしょうか?
横塚 私自身を含めて、メンバーには必ず得意不得意があります。私は、全員がパーフェクトにならなくていいと思っています。
1人で戦うのであれば全てをオールマイティにしていかなければならないのかもしれませんが、いいところは使って課題のある所は長期的に改善する。それがチーム、会社の良さなのではないでしょうか。
下村 私はフェイスブック ジャパンでダイバーシティチームも運営しています。今の日本ではダイバーシティといえば女性がフォーカスされていますが、世界ではLGBTQであるとか車椅子の方、発達障害の方の採用に取り組んでいます。チームをまとめる立場としては、その方々にハンディを感じさせないマネジメントをしていきたいと思っています。
会社に行きたくない日もたくさんある。でも一歩ずつ前に進む
── では最後に、この会場にいる200名近い方々へ、キャリアと人生についてぜひ一言ずつお願いします。
横塚 このWOMAN EXPO出演のお話をいただいたとき、人生について、振り返りと、この先何をしようかということも含めて改めて考えました。そういうことを考える良い機会だったと思っています。ありがとうございます。
私は落ち込むこともあり、会社に行きたくないなと思うことも本当にたくさんあります。しかし毎日少しだけでもいいので踏み出せる一歩があれば、必ずトータルで前進しています。明日は必ず来ますので、元気に恐れず前に前に、少しでいいので進んで行ければいいなと思っております。
今のこの時代って、本当に素晴らしいと思うんです。特に女性に対して。まだまだ女性の正規雇用の数は少ないわけですが、女性がこの先働いていくということは日本を持続させるということになる。私もそのために、毎日とにかく前へ進みたい。一緒に頑張っていければと思います。
下村 今日は大先輩達の前でベラベラと喋って「恥ずかしいな」と思いつつも、お話しをさせていただきました。私の日常もパーフェクトではなく、ギルティだらけなんです。
「仕事時間があと2、3時間残っていたらもっとできただろう」「あと2、3時間早く帰れていたら、子どもに違う習いごとをさせてあげられたかもしれない」とか。そう思いながらもやはり、立ち止まらないということが本当に重要だと思っています。
大変だったときも、それを続けることによって、経験が後になって自分を助けてくれます。これは本当です。日本の労働人口がどんどん減っていく中で、女性が働かないと社会の発展はないと思いますので、皆さんと頑張っていければなと思っておりますし、ワーママとしては日経DUALという素敵なメディアで助けていただきたいなと思います。
── 一見、キラキラまぶしい外資系女性ボスのおふたりですが、絶え間ない努力や、チームと上司への感謝、日本人としていかにグローバルで立っていくかという志があることが分かりました。そんな胸が熱くなるお話を、本当にありがとうございました。
(取材・執筆/阿部祐子、写真/花井智子)