「なんだ女か」「数年後を見ていろよ」

横塚 私は日系企業にはいたことがないので 、正直、男社会の壁を感じたことはないですね。ただ営業の仕事をしていたとき、相手は90%以上が男性なので「なんだ女かよ」と言われることはありましたね。それは慣れましたし「数年後を見ていろよ」と思っていました。偉くなってやると。

下村 私もP&Gで営業セクションにいた頃は男性も多かったので、上手くやっていくことは大事でしたが、壁はなかったです。

 取引先などでは男性中心のビジネスシーンが多かったのですが、私がいつも思うのは、男性相手に「空気を読む」ことを期待してはいけないということです

── 相手が女性の気持ちをくんでくれるだろうと期待してはダメ、と。

下村 そうです。女性なら「本当はこう思っているんじゃないか」というところまで考えてくれる場合もありますが、男性の場合、言ったことを額面通りに受け取る方が多い気がします

 ですから、してほしいことや、課題などはきちんと伝えると「そうなんだ、気づかなかった」と言ってもらえることも多く、対応してくれます。

── 日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)に所属するエグゼクティブの皆さんに調査した日経DUALで非常に読まれた特集「女性エグゼクティブin「男社会」本音トーーーク!」では、男社会の中で、横塚さんのように「いつか見返してやる」と思った経験のある方が8割以上と結果が出ています。

 また、日本企業では女性が前面に出ていくときには非常に気を配らないとならない。男性上司や同僚と噂を立てられないように、男性上司の部屋に行くときは単独ではなくチームで行くとか、取締役の部屋に行くときは他の取締役と偏らないように回数をメモしておくとか…。悲しいかな、それが日本企業の現状です。外資系企業では、違う風景ですか?

横塚 下村 違いますね ・・・。

日本企業の「男社会の壁」や、外資系企業でのコミュニケーション方法について本音トーク
日本企業の「男社会の壁」や、外資系企業でのコミュニケーション方法について本音トーク

── そんなに白い目で見ないでくださいよ(笑)。これが日本企業における実態なのです。会場の皆さん、今の会社がうんざりと悩んでいる方は、ぜひこのおふた方の会社に転職をされてはいかがでしょうか?(会場、笑う)

毎朝30分のオンライン英会話で日々鍛錬

── せっかくですので、グローバル企業で活躍できる、英語の上達法を教えてください。

横塚 私は日本生まれの日本育ちで、海外留学にも行ったことはないんです。デルに入ったとき、「君はポテンシャル採用だ、頑張らなきゃダメだよ」と言われたんです。英語で名前しか喋れないくらいのレベルだったんですよ。でも入社して5年は英語の勉強、しなかったんです。「いつか自然に喋れるようになるだろう」って。

── ではいつ、英語を習得されたんですか?

横塚 偉くなるためには、どうしても英語が必要になります。そこからですね。オンラインのレッスンで毎朝勉強しています。

── オンライン英会話ですか! 毎朝?

横塚 毎日30分、今でもやっています。そのための早起きでもあります。一定金額で毎日レッスンが受けられるんです。

── やはり並々ならぬ努力を続けていらっしゃるんですね。

横塚 英語は独学なので発音もネイティブの方に比べたらもちろん劣りますし、文法も時折変になります。でも私は、日本人であることを非常に誇りに思っています。日本人は色々なことをよく調べますし、日本のマーケットのことであれば、グローバルの人に比べて絶対によく知っている。これは日々思っていますね。

── 引け目に感じるのではなくて、むしろ日本人であることを強みにする精神力ですね。

下村 私も語学は、会社に入ってからです 。P&Gでは入社3週間で英語しか話さない環境に置かれ、半年に1回ずつ、1週間のトレーニングを受けます。ただ、語学スキルと同じくらい大事なのは、グローバルコミュニケーションスキルだと思います。