日本一の梅の生産量を誇る、和歌山県みなべ町が作成したレシピ本『まいにち元気 31日の梅レシピ!』の完成お披露目発表会が、東京ガスの銀座スタジオ「Studio +G GINZA」で開催されました。
 発表会では、梅のまち・みなべ町の紹介や、レシピ本にアドバイザーとして参加されたフードスタイリスト飯島奈美さんのトーク、梅レシピのクッキング実演&試食会など、盛りだくさん。美味しい料理をいただきながら、健康食品としても優秀な梅の素晴らしさに存分に触れてきました。

若いファミリーに、気軽に梅を食べてもらいたい

 和歌山県といえば梅が有名なイメージがありますが、それもそのはず、和歌山県では国内の梅の62%が生産されていて、中でもみなべ町は特に梅栽培が盛んな地域です。町役場の中に「うめ課」という部署があるほど、町全体で梅栽培を盛り上げています。そのみなべ町で栽培されている「南高梅」は梅干しの最高級品種で、ご存知の方も多いと思います。

 おにぎりの具やお弁当に、また食卓でもおなじみの梅干しですが、実は2002年をピークに梅の消費量は減少傾向で、特に若い世代の梅離れが進んでいます。実家では当たり前のように梅干しが並んでいたDUAL世代でも、自宅ではあまり梅干しを買っていない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?  そこで、若い女性やファミリーに梅をもっと食べてもらいたいと、みなべ町で「31日の梅レシピ制作委員会」を発足、この度『まいにち元気 31日の梅レシピ!』というレシピ本がリリースされました。レシピ開発には、フードスタイリストの飯島奈美さんもアドバイザーとして参加され、美味しく簡単に作れる、アイディア満載のオリジナル梅レシピが31個も掲載されています。

医師も認める梅の効用とは?

 イベントでは、まずはじめに、和歌山県みなべ町「うめ課」課長の田中一朗さんが登場され、梅のまち・みなべ町についてお話くださいました。

 「紀伊半島の中央に位置するみなべ町は、世帯数は4400戸、人口1万3千人余りの町です。全戸数の3分の1が農家で、そのほとんどが梅を栽培しています。ここまで梅栽培が盛んになった理由は、今から約400年前、穀物が作れない痩せ地を免税地にしたことからで、梅なら育つ土地ということで梅栽培が始まりました。なだらかな山々に梅林が広がり、今の時期は白くかわいい花が山を飾ります。その他、梅の栽培技術を行う研究所もあり、町全体で梅を盛り上げています」

 田中さんによると、日本で梅の生産量が増えたのは1955年頃から。1974年には従来の塩漬けだけでなく、味のついた調味梅干しが登場し、さらにバリエーションは広がりました。1977年に紀州みなべの南高梅でブランド力を高め、この頃の健康食ブームもあり、梅の人気はますます高まりました。  しかし、いっときのブームから比べると、今では一世帯あたりの梅の購入量は3割近く減少傾向にあります。梅は高齢化食品である、また塩分が高いというイメージや、米食の減少も原因だとか。栄養面でも素晴らしい健康食品である梅をもっと多くの人に食べてもらいたいという思いから、世界農業遺産での認定をはじめ、みなべ町では様々な取り組みをしているそうです。

 「6月6日は梅の日として、その日は町内の小中学校では給食に梅干しおにぎりが献立に出されます。また、年に一度、UME-1グルメ甲子園を開催し、会場では梅料理を販売するなどイベントとして盛り上げています。あとは、梅の機能性の研究にも力を入れています。梅は体に良いという印象を医学的に検証するために、医師による研究チームを立ち上げました」(田中さん)

 その結果、梅の中にはピロリ菌の運動能力を阻害、抑制する成分が含まれていることがわかりました。他にも、血糖値の上昇を抑制する、クエン酸による疲労回復効果、生活習慣病の予防、また脂肪燃焼効果のあるバニリンという成分も含まれているそうです。梅干しに熱を加えると、このバニリンは1.3倍に増えるそうで、メディアでも“焼き梅ダイエット”として取り上げられています。このように、梅は現代の健康志向にもぴったりの食品と言えそうです。