【レポート】PLAY BALL いじめをなくすヒーローになろう!!

 昨年11月、「BE A HERO プロジェクト」による「PLAY BALL いじめをなくすヒーローになろう!!」というイベントが開かれました。本プロジェクトの発起人である岩隈投手ら、同プロジェクトのメンバーが登壇。集まった参加者に「いじめをなくすための具体的な方法」を解説しました。

 「BE A HERO プロジェクト」が掲げる「科学的にいじめをなくす方法」について、イベントで語られた要点をご紹介します。

岩隈投手も参加したイベントの様子
岩隈投手も参加したイベントの様子

 世界では、科学的な「いじめの研究」が行われています。それにより、「いじめは、虐待よりメンタルヘルスに影響する」「いじめの傍観者も同様に、それが過ぎ去ってから被害者と同程度の心理的苦痛を抱く」「8歳の時点で周囲に対して攻撃的な男子は、大人になってから犯罪者になるリスクがそうでない子より高い」などといった研究結果が紹介されました。

 いじめが深刻化する要因は二つあります。一つは、力の不均衡(アンバランス・エラー)。弱い立場の者は、やり返すことも、やめてほしいという意思表示もできない状態に置かれてしまいます。もう一つが、不公平な影響(シンキング・エラー)。加害者が「これは遊びだ」「やってもいい」と、間違った考えを持ってしまっている状態です。

 また、いじめの傍観者が、それを見ているうちに共感性をなくし、いじめの加害者になってしまうこともあります。でもそこで傍観者がいじめをやめさせる行動を起こすと、57%が数秒でいじめが止まることが分かったのです。

 では、そもそもなぜいじめが起きるのか? 実は、いじめ行為にはモデルがいます。例えば、「部活で後輩いじめをする先輩が嫌だと思っていたのに、自分が上級生になると後輩をいじめてしまう」「子どもが親の言葉遣いをまねする」などです。モデルは、先輩、学校の先生、親などさまざまです。

 自分でも気付かないうちに悪いモデルになっていませんか? また、加害者や傍観者になっていませんか? 実は、いじめは大人の問題です。大人の行動が変わることで、子どもの行動も変わっていきます。

 「BE A HERO プロジェクト」では、実際に学校に行き、「いじめを撲滅する方法」について広める活動をしています。次回は、岩隈投手も参加した東京都の文京区立本郷台中学校での活動の模様についてご紹介します。

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BE A HERO プロジェクト

(取材・文/北野啓太郎、日経DUAL編集部 撮影/川田雅宏)