福岡国際会議場(福岡・博多区)で2017年10月に開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2017」。佐賀県の山口祥義(よしのり)知事に、日経DUAL羽生編集長が「ロックな働き方、ダイブのすすめ」をインタビューしました。山口知事が勧める「ダイブ」とは?

■関連記事

“妊婦知事”ムービー拡散の秘訣「絶対に茶化さない」
「お前が産むわけじゃなかろう」男性育休の壁に挑む
イクメン疲れと“もんだ症候群”にサヨナラ!

佐賀県の山口祥義知事。12年前、3人目の子どもの育児休暇を2週間取得した。
佐賀県の山口祥義知事。12年前、3人目の子どもの育児休暇を2週間取得した。

日経DUAL羽生祥子編集長(以降、――) 山口知事のように、自ら育児休暇を取得したような方が上司でしたら、さぞや働きやすい組織でしょうね。しかし、多くの男性会社員は、自分は働き方改革をしたいと思っても、なかなかチーム全体に拡げられないという悩みが多いようです。

佐賀県 山口祥義知事 それは「もんだ症候群」ですよね。「~~だったら~~するもんだ」と思い込んでしまう症候群。とくに男性が陥りがちだと思います。しかし、いい仕事をするためにも、むしろ家庭人であることはとても大切だと思います。一番問題なのは中間管理職です。私が総務省から鳥取県に出向していたとき、部長の立場で育児休暇を取ったら、その後鳥取県の育児休暇取得率が数倍に上がりました。それは、課長たちが育児休暇を取る男性たちにストップをかけなくなったからです。育児休暇だけではありません。今の佐賀県庁は、いかに効率的な時間の中でいいアイディアを出して、県民密着型で仕事ができるのか、そういうことを評価しています。

「その組織の中で、自分の人生が描けるか?」

―― なかなかそういうことを理解できない、マッチョな考えで固まっている中間管理職の人をうまく説得する方法はありますか?

佐賀県知事 トップの人がマッチョな考え方だとすると、各リーダーが変わる必要があります。でも正直言って、そういう組織にはある程度見切りをつけたほうがいいかもしれないですね。だからこそ組織のトップが大事なんだと思う。その会社の中で、ずっと自分の人生を描けるのかどうか。今は、色々な仕事が選べるようになっている時代です。職業選択も中途採用もできますし。佐賀県庁は中途採用率が高いです。それは当然だと思っていますし、意図的にも増やしています。色々な経験を積んでいる人間のほうがいいと思うので。だからU・Iターンの人がとても多いです。

―― ダイバーシティを実践している職場ですね。

佐賀県知事 昔の会社は一から鍛えて、会社色に染めあげていくというスタイルだった。でも今は県庁でさえ、一から純粋培養で育てるよりも、色々な職種を経て経験を積んだ人間に価値を見出しています。

―― 民間の企業からも来ますか?

佐賀県知事 もちろんです。だからずいぶん変わりました。だからといって、ベーシックな、たとえば税金を徴収するというような仕事もちゃんとやってくださいよ、と言っていますが(笑)。でもU・Iターンで入ってきた人がいろいろなアイディアを発信してくれることが多いですし、今度私の秘書になった者もU・Iターンで佐賀県庁に来た人間です。