夫婦ゲンカというと、普通は家という密室で行われるものなので、よその家ではどのような夫婦ゲンカが繰り広げられているのか(はたまた、繰り広げられていないのか)、伺い知る機会は少ないのではないでしょうか。実は、他人の夫婦ゲンカは、自分たちの夫婦関係を良くするヒントの宝庫。そこから学べることはたくさんあります。

そこで、仕事と家事&育児の両立を目指しつつ、妻の人生も一生懸命に考えるという、スーパーマンのようなダディを目指して活動するダディ集団「スーパーダディ協会(SDA)」が、「いい夫婦の日」に当たる2018年11月22日の前日に、渋谷のカフェにて「フウフゲンカシンポジウム シブヤ2018 ~他人の喧嘩は、蜜の味。~」を開催。事前に配られたアンケートをもとにSDAの会員たちが夫婦ゲンカをする派、しない派に分かれて意見を述べ合い、熱いディスカッションを行いました。上編で、男性から出た意見を紹介したのに続き、今回は女性側から出てきた言い分や「察してくれない夫」対策、夫婦ゲンカに関するパパたちの様々な悩みや意見を紹介します。

■上編はこちら:夫婦ゲンカを夫婦関係改善につなげる4つのルール

「これまで離婚しないでこられたのは、徹底的にケンカしてきたから」

女性の側からの意見を披露する阿部真弓さん(左)と佐藤さん(右)
女性の側からの意見を披露する阿部真弓さん(左)と佐藤さん(右)

 フウフゲンカシンポジウムもいよいよ、後半戦が開始。上編で「普通の会話では本音が出てこない。本音というものはケンカをきっかけに出てくるものなのでは?」と意見を述べたSDA会員の阿部勇太さんの妻、阿部真弓さんが登壇。司会の小原壮太郎さんからの「前半戦では男性の皆さんから、ケンカする時のルールや上手なケンカの収め方として、『AM10時ルール』や『お出かけ時のチュー』などが紹介されました。これに対して、女性としてはどう考えますか?」との問いに答えた。

 「夫も言っていましたが、私たち夫婦はとにかく言いたいことは言い合います。たぶん、ここでは言えないほど、人格否定に近いくらいの言葉も飛び出します(笑)。結婚前から子どもが生まれて1年くらいはまったくケンカもなく夫婦円満でした。ところが、お互いが言いたいことを言っていなかったので、爆発するようになってしまいました」(真弓さん)

 なぜ、阿部夫妻はケンカをするようになったのか。その理由を真弓さんはこう説明する。

 「子どもが生まれてからは、妻として色々な不満やストレスを抱え込むようになり、夫に聞いてほしいことがたくさん出てきました。ところが、味方になってくれる人は夫しかいないというのに聞いてくれない。味方になってくれないのであれば、あえてケンカをふっかけてやろうとなったのだと思います」

 実際にケンカをふっかけてみると、「夫は『ごめんね』とすぐに言えないタイプなので、そこからバトルが始まるようになりました。一つのケンカが長く、長いときは2カ月間続くことも。その日のうちに謝るというところまで行くことはなく、もはや離婚しかないかも、というレベルになるまでバトルを続け、お互い体力がなくなってきたところでようやく冷静に話し合えるという感じ」なのだという。

 会場がどよめく中、「2カ月って長くないですか?」との司会の問いに、真弓さんはこう答えた。

 「そこまで私のほうはため込んでいるので、お互いにすぐにごめんねと謝って、明日から仲直りしようとはなれない。だから、『私はあなたのことが嫌いです』と面と向かって言います。夫のほうも『オレも今のあなたには全然、魅力を感じないし、家に帰りたくもないよ』と言い返す。気づけばけっこうな時間が経ってしまい、『じゃあ、どうする?』ということになって、別れるのかこれからもやってくのかということを話せるようになります」

 さらに、真弓さんが「これまで離婚しないでこられたのは、徹底的にケンカをやり切ってきたから。これから20年、30年先も一緒に暮らしていくのに、お互いの気持ちを隠したままでは夫婦として添い遂げることはできないと思います。だから、今後もお互いが思っていることをすべてオープンにしてぶつけ合っていけたらいいな、と思っています」と語ったところで、会場から大きな拍手がわき起こった。