「私と息子のどちらが大事なの?」どう答えるのが正解?

 最後に、今回のフウフゲンカシンポジウムを主催したSDA(スーパーダディ協会)代表の髙橋一晃さんが登壇し、参加者に対して最後の質問を投げかけた。

 「僕も結婚当初はケンカをしたことなかったのですが、子どもができたことがキッカケでケンカするようになりました。そんなとき、妻があることを聞いてきたんです。みなさんならどう答えるのか、お聞きしてみたいと思って、最後の質問をさせていただきます!」(髙橋さん)

妻からの突然の質問の答えを今も探し続けているSDA代表の髙橋一晃さん
妻からの突然の質問の答えを今も探し続けているSDA代表の髙橋一晃さん

質問3
妻に「私と息子、どっちが大切なの?」と聞かれたらどう答えますか?

 夫婦ゲンカの最中に妻から「私と息子、どっちが大切なの?」と問われた髙橋さんは、ちょっと考えてから「同じくらい大切だよ。だって家族なんだもん」と、自信を持って答えたという。

 女性の立場からどう感じるのかという問いに、前出の阿部真弓さんは「私は髙橋さんの答えでいいと思います」と意見を述べた。

 そこで、髙橋さんから、その時の状況について補足説明が入った。

 「女性の側からの意見としては問題ないようですが、私の妻は、そう答えたところでハンパない感じでブチ切れました。『やっぱりそうなのね』と、涙を流してしまったんです。この妻からの質問に正解というのはないと思いますが、みなさんならどう答えるのか、ぜひ、聞いてみたいですね」

 そこで、男性側から出た意見をいくつか紹介する。

意見1
 「そういう質問をされること自体、全く理解できない。もし同じ質問をされたら、『息子のほうが大切だ』と答えるような気がします。逆に僕が同じ質問をしたら、妻もそう答えると思う」

意見2
 「娘が生まれたばかりの頃は、自分が娘にかかりっきりになっていることに対して妻はヤキモチを焼いていた時期もあったと思う。今思えば、その寂しさが当時の夫婦ゲンカにつながっていたのかな、と思うことも。そういう意味では、『どっちも大事だよ』と言うのが正解ではあるけれど、もっと妻のことを思う気持ちを出せたら良かったのかも」

意見3
 「この質問自体、普通に出てくるような質問ではないと思う。当たり前ではない答えを求めていたから、質問したのではないかと考えてみるべきかも。この答えは普通に考えただけではダメなんじゃないかと思う」

 「私は、その後も色んな人にこの質問の正解を聞いてきましたが、なかなか納得できる答えは得られませんでした。ところがある日、納得できる答えを教えてくれる人が現れました。それが、私の先輩である三木茂さんです」(高橋さん)

 髙橋さんが納得した答えとは何だったのか。会場にいた当の三木さんに、マイクが渡された。

 「どんな答えが正解なのかが問題なのではなく、何でこの質問が出たのかということを考えたほうがいいなと思ったんですよ。僕だったら『そんなことを言わせて、ごめんなさい』って答えるかな、と髙橋君に言いました」

髙橋代表が納得できた答えを披露する三木さん
髙橋代表が納得できた答えを披露する三木さん

 一同からどよめきと拍手がわき起こるなか、髙橋さんはこう締めくくった。

 「なかなか言えないセリフですよね。夫婦ゲンカになったときの言動をどうするべきなのか、考えるヒントになりそうです。皆さんもぜひ参考にしてみてください」

(取材・文・写真/国尾一樹)