「察してくれない夫」対策として効果てきめんだったのは?

 真弓さんに続き、『Rethink夫婦の時間』という夫婦のパートナーシップについての取り組みに携わり、今回のイベントの開催実現にも協力した佐藤裕美さんが、自身の夫婦ゲンカについて語った。

 「夫婦ゲンカとなると、夫より私のほうが弱く、素直に頼ることができない性格なので、ケンカできないで我慢している時期がありました。週末でも早起きをして朝ごはんを作って3人の子どもたちに食べさせる。家事をしながらも仕事のことを考えてしまったりして、ずっとイライラ……。私は“イライラオーラ”を出し続け、『察してよっ!』と夫にテレパシーを送り続けているのに、夫はスマホをイジりながらのん気にテレビを見ているんですよね(笑)。しかも、『イライラしている妻がいる家には帰りたくない』と言われたことも……。そこでついに、怒りが爆発しちゃったんです」

 自分がイライラしていることに夫はまったく気付いていないと悟った佐藤さんは、自身がこなしている家の中でのタスクをすべて洗い出し、エクセルに項目と点数を書き出していったのだとか。

 「わが家は子どもが3人いますが、3人をお風呂に入れるのは3点とか、習い事の送り迎えは一つにつき1点などと全部書き出していき、さらに私の割合、夫の割合、アウトソーシングの割合、と色分けして見える化し、夫にメールで送りました。これは、夫にフィフティフィフティにしてくれということではなく、家の中でのタスクはどれだけあるのか把握してほしかったから。家庭も会社も同じく経営なので、仕事チックな共通言語で話したほうが分かりやすいだろうと思ってやってみたんです」

「夫とはロジカルに“見える化”してから話し合った」と佐藤さん
「夫とはロジカルに“見える化”してから話し合った」と佐藤さん

 効果てきめんだったのか、「それまではうまく伝わらなくて大ゲンカになっていたのが、その後は小競り合い程度に。私がイライラしていると、『また何か大変なことがあったのかな?』と気にかけてくれるようになりました」と、佐藤さんは言う。

 「女性の側からロジカルに見える化をしたことが、うまくいくようになった要因ですか?」という司会の問いに、佐藤さんはこう答えた。

 「共働きでお互いに仕事をしているので、仕事と同じように会話したほうがいい場合もあります。家庭も組織であって、予算があってどうやって経営していくのかという、会社を経営するような視点で会話したほうが、夫もイメージしやすいようです。それがわが家の場合はうまくいったという感じです」

 また、佐藤さん自身にとっても、ちゃんと夫婦ゲンカをしたことはいいことずくめだったという。「1回爆発した後にクールダウンできました。ため込まないために爆発することも必要なのではないかと思います。たまに今でも爆発していますが、そこはちょっと、夫に甘えさせてもらっています(笑)」と佐藤さんは締めくくった。