ひたすら耐え続ける修行僧のような人も……

 一方で、ケンカをしない派からは、「ケンカした後の喪失感と関係をリカバリーするための労力がしんどいので、しないほうがいい!」といった意見も。今別府亮さんは、こう話す。

 「喪失感というより、敗北感と言ったほうがいいのかもしれませんが、毎回、ケンカすると負けます(笑)。ケンカした後に仲直りをしますが、何か気まずいというか、照れくさい。その時のほんわかとした感じが嫌なんです」

 結婚して14年目の今別府さんは、新婚当初2年間くらいはケンカをしていたが、それ以降は白旗のみでケンカはしなくなったとか。

 「今でも迷いがあって、やはり、ケンカはしたほうがいいのかなと思うこともあります。皆さんのいろいろな意見をもっと聞いてみたいですね」(今別府さん)

 「自分がひたすら我慢して謝るため、ケンカになりません」と言うのは、田中孝一さん。

 「妻が怒っているときにケンカをすると、かなり激しい状態になってしまうので、私がひたすら我慢して謝るという状況です。それが一番、穏便に収まる。ケンカする派の皆さんのように自分も反撃できたらいいですが、そういう能力がないので、ひたすら謝っています。妻のほうがケンカ上手と言いますか、どうしても勝てないので、ひたすら謝って我慢するしかないんです……」

 「ちなみに、耐え続けている時の苦しさはどのようにリリースというか、解放されているんですか? まるで修行僧のような……」との司会の問いに、田中さんはこう答える。

 「いや、それはもう、ひたすらため込むだけです(笑)。だから、私はストレス耐性という意味ではどんなことがあっても大丈夫だという自信があります。仕事で嫌なことがあっても、フウフゲンカのストレスに比べれば何でもありません。これによって寿命が10年とか20年、縮んでいるかもしれませんが(笑)、それもすべて自分の責任であると達観しているところがあります」

ひたすら謝って我慢すると言う、田中さん
ひたすら謝って我慢すると言う、田中さん

逃げるように流すのでなく、共感し、近づいてから話す

 ある意味、“ひとつの悟り”とも言える意見に会場はどよめく中、次に紹介されたのは「お互いの領域を尊重し合えているので、ケンカはしない」という、前出・深川さんの意見。“大根下ろし”の2年を経て会得した、ケンカ回避のコツを披露してくれた。

 「昔だったら、相手がバンと来た瞬間にこっちも火が付いてしまっていたのですが、今は火が付かないようにサッとかわすという感じ。逃げるように流すのではなく、『だよねー』と共感しつつ、少し近づいてから話すようにしています。それを妻のほうも分かっていて、お互いに歩み寄っている感じです」

 とはいえ、まだ達観し切れていない部分もあるという。

 「仕事で嫌なことがあったりして、それを家庭に持ち込んでしまうことも。僕がちょっとイラッとしている時は、逆に妻のほうが同じテンションにならないようにしてくれる。そういう関係性が自然とできていっているような気がしますね。そういう意味では、今はケンカしなくても夫婦円満であると僕は思っています」(深川さん)

 次は、「フウフゲンカをする時のルール」として出てきた意見を紹介します。